この記事では、マニフェストの保存義務・保存期間・廃棄方法について、マニフェストに詳しくない人でもわかるように解説します。
マニフェストとは?
マニフェスト(産業廃棄物管理表)とは、産業廃棄物の排出事業者がその処理を外部に委託する際に、適切に処理されているかを確認するために作成・保存しなくてはならない書類です。
産業廃棄物は一般的に、
排出事業者→運搬業者→中間処理業者→運搬業者→最終処理業者
の流れで処分されます。その際、マニフェストも同時に移動します。
マニフェストは産業廃棄物を廃棄する際に排出事業者が記入し、その後運搬業者や中間処理業者に引き渡され、運搬や処理が終わったら排出事業者に返送されます。この排出事業者から中間処理業者までのマニフェストを1次マニフェストと言います。
また、中間処理業者で処理された廃棄物を最終処分業者に引き渡し、最終処分する際にも中間処理業者が新たにマニフェストを作成・記入します。マニフェストは運搬業者・最終処分業者に引き渡され、中間処理業者に返送されます。この中間処理業者から最終処理業者までのマニフェストを2次マニフェストと言います。
1次マニフェストも2次マニフェストもどちらも保存義務があります。
なお、紙のマニフェストは複写式になっており、全部で7枚(A票、B1票、B2票、C1票、C2票、D票、E票)あります。これらすべてに保存義務があるため、マニフェストを受け取ったあとは、保存期間を必ず守って保存しましょう。
マニフェストの保存期間
マニフェストの保存期間は、A票からE票まですべて5年間となりますが、A票のみ起算日(数えはじめの日)が異なります。
マニフェストの保存期間
5年間
マニフェストの起算日(数えはじめの日)
A票:交付の日
B〜E票:返送され受け取った日
A票〜E票は、最終的に排出事業者・運搬業者・中間処理業者・最終処理業者がそれぞれ保存することとなります。どのマニフェストを誰が保存すればよいのかは、以下の図と表の通りとなります。
一次マニフェストの種類と保存する事業者
マニフェストの種類 | 保存する事業者 | 内容 |
---|---|---|
A票 | 排出事業者 | 排出事業者が産業廃棄物を排出する際に記入し、A票のみを控えとして保存 |
B1票 | 運搬業者 | 運送業者が産業廃棄物の運搬完了時にB1票とB2票を切り取り、B1票を控えとして保存 |
B2票 | 排出事業者 | 産業廃棄物の運搬完了時に運搬業者から返却されるB2票を排出事業者が保存 |
C1票 | 中間処理業者 | 中間処理業者が処理完了時にC1票とC2票とD票を切り取り、C1票を控えとして保存 |
C2票 | 運搬業者 | 中間処理業者による処理完了時に中間処理業者から返却されるC2票を運搬業者が保存 |
D票 | 排出事業者 | 中間処理業者による処理完了時に中間処理業者から返却されるD票を排出事業者が保存 |
E票 | 排出事業者 | 最終処分業者による最終処分完了時に、中間処理業者が最終処分業者から受け取った二次マニフェストのE票を一次マニフェストのE票に転記したのち、排出事業者に一次マニフェストのE票を返却 返却された一次マニフェストのE票を排出事業者が保存 |
二次マニフェストの種類と保存する事業者
マニフェストの種類 | 保存する事業者 | 内容 |
---|---|---|
A票 | 中間処理業者 | 中間処理業者が産業廃棄物を排出する際に記入し、A票のみを控えとして保存 |
B1票 | 運搬業者 | 運送業者が産業廃棄物の運搬完了時にB1票とB2票を切り取り、B1票を控えとして保存 |
B2票 | 中間処理業者 | 産業廃棄物の運搬完了時に運搬業者から返却されるB2票を中間処理業者が保存 |
C1票 | 最終処分業者 | 最終処分業者が処分完了時にC1票とC2票とD票を切り取り、C1票を控えとして保存 |
C2票 | 運搬業者 | 処分完了時に最終処理業者から返却されるC2票を運搬業者が保存 |
D票 | 中間処理業者 | 処分完了時に最終処理業者から返却されるD票を中間処理業者が保存 |
E票 | 中間処理業者 | 最終処分業者による最終処分完了時に最終処分業者から返却されるE票を、中間処理業者が保存 |
マニフェストを保存するときは、保存期間が一番長いE票の受け取り日から5年間保存しておくと、管理が楽になるでしょう。
マニフェストは、保存期間の5年間保存しておかなければ罰則もあります。返送されるはずのマニフェストを受け取っていない場合は、早急に受け取りましょう。B2票・D票は90日以内、E票は180日以内に受け取り保存することになっています。もし期日内に受け取れなかった場合には、都道府県に措置内容報告書を提出する必要があります。
なお、紙のマニフェストも電子マニフェストも保存期間は同じですので、どちらの場合にも必ず5年間保存しましょう。
一部マニフェストは電子マニフェストでの保存が義務化されています。
前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物以外)の発生量が50トン以上の事業者が特別管理産業廃棄物の処理を委託する場合は、電子マニフェストでの保存が必要です。
マニフェストの廃棄方法
「マニフェスト自体の廃棄にもマニフェストが必要なの?」という声もたまに耳にします。マニフェストは業務系一般廃棄物のため、他の書類と同じように廃棄して構いません。
ただ、マニフェストを外部の人間に見られてしまうと、どんな廃棄物をどの程度廃棄したのかが分かってしまいます。業務内容や経営状態などもある程度分かってしまうものです。マニフェストのような書類は、できるだけ機密文書廃棄サービスなどを利用し、内容が外部に流出しないように廃棄しましょう。
マニフェストの保存スペースにお悩みの方に
マニフェストは保存期間が長く、社内の書類保存スペースが圧迫されて困っている方も多いのではないでしょうか。マニフェストは、普段使うことのない書類です。そんな書類は書類保管サービスなどに預けると、管理が楽になります。
マニフェストは預けたあとに取り出す必要のない書類ですから、集配送の料金がかからない分、利用料も安く済みます。
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