レントゲンフィルムの廃棄で、「どのように処分すればよいのか」「いつまで保存しなければならないのか」とお悩みではありませんか。レントゲンフィルムは単なる廃棄物ではなく、廃棄物処理法上の「産業廃棄物」であり、同時に個人情報保護法で守られるべき「個人情報」でもあります。そのため、適切な手続きを踏まずに廃棄すると、法令違反として罰則を受けるだけでなく、医療機関の社会的信用を失ってしまうかもしれません。
この記事では、レントゲンフィルムの廃棄に関わる法律の基礎知識から、法定保存期間、廃棄時の注意点、そして適切な廃棄方法まで、医療機関が知っておくべき重要なポイントを網羅的に解説します。正しい知識を身につけて、安全かつ適法なレントゲンフィルムの管理・廃棄を実現しましょう。

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レントゲンフィルム廃棄に関わる法律の基礎知識
レントゲンフィルムは法律上どのような扱いなのか
レントゲンフィルムは、法的に「産業廃棄物」と「個人情報」という二つの側面を持っています。廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)では、事業者が排出する「廃プラスチック類」などに該当するため、産業廃棄物としての適正処理が義務付けられています。また、フィルムには患者の氏名やIDなどの機微な情報が含まれているため、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)に基づき、漏えい防止など厳格な安全管理が必要です。
参照:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第二条|e-Gov法令検索
参照:個人情報の保護に関する法律 第二条|e-Gov法令検索
関連する主な法律・規制
レントゲンフィルムの廃棄には、複数の法律が関わっています。なお、医療法・医師法・保険医療機関及び保険医療養担当規則では保存期間が定められており、この保存期間を満たした後に廃棄が可能となります。それぞれの要点を正確に把握することが、適正な廃棄プロセスの第一歩です。
・廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)
排出事業者としての適正処理責任が定められています。自ら処理するか、許可を持つ専門事業者に委託しなければなりません。委託時にはマニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付も義務付けられています。
・個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)
個人情報取扱事業者(医療機関など)に、個人データの安全管理措置(第二十三条)と、委託先の監督義務(第二十五条)が課されています。
・医療法
病院に対して診療に関する諸記録を2年間保存する義務が定められています(施行規則第二十条)。レントゲンフィルムもこれに含まれるため、2年間の保存後に廃棄が可能となります。
・医師法
医師に対して診療録(カルテ)を5年間保存する義務が課されています(第二十四条)。レントゲンフィルムは診療録の重要部分と解釈されることが多いため、5年間の保存後に廃棄が可能となります。
・保険医療機関及び保険医療養担当規則
保険医療機関に対して診療録以外の記録は3年間、診療録は5年間の保存を義務付けています(第九条)。この期間経過後に廃棄が可能となります。
参照:個人情報の保護に関する法律 第二十三条、第二十五条|e-Gov法令検索
参照:保険医療機関及び保険医療養担当規則 第九条|e-Gov法令検索
法律で定められた保存期間について
レントゲンフィルムの法定保存期間は何年か
法定保存期間は、医療法で2年、保険医療機関及び保険医療養担当規則で3年、そして医師法が定める診療録の保存期間として5年と、複数の法律で定められています。実務上は、これらの法律を全て遵守し、かつ訴訟などのリスク管理の観点から、最も長い5年間を基準に保存するのが一般的であり、最も安全な選択です。
参照:保険医療機関及び保険医療養担当規則 第九条|e-Gov法令検索
保存期間が設けられている理由
レントゲンフィルムに保存期間が設けられている理由は、単に記録を残すためだけではありません。主に以下の四つの重要な目的があります。
- 継続的な医療の質の確保:過去の画像は、病状の経過観察や的確な診断に不可欠である
- 法的紛争の証拠保全:医療過誤訴訟などが発生した際、治療の妥当性を示す客観的証拠となる
- 公衆衛生や医学研究への活用:疾患の動向調査や研究の貴重なデータとなり得る
- 診療報酬請求の正当性の担保:行政による監査の際に、診療の根拠として提示する
保存期間を守らなかった場合の罰則
法定保存期間の遵守は義務であり、違反した場合は罰則が科されます。医療法違反の場合は管理者に20万円以下の罰金、医師法違反の場合は50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。ただし、罰金だけでなく、訴訟で不利になったり、行政指導の対象となったりするなど、医療機関の社会的信用を失うリスクの方がはるかに大きいです。
レントゲンフィルムを廃棄する際の法的注意点
個人情報保護法に基づく取り扱い
廃棄は、個人情報保護法が定める安全管理措置義務の最終段階です。保管中は施錠管理を徹底し、廃棄時には個人情報が復元不可能となるよう確実に処理しなければなりません。外部事業者に委託する際は、委託先の監督義務も発生します。そのため、秘密保持契約を結び、情報管理体制が信頼できる事業者を慎重に選定する必要があります。
参照:個人情報の保護に関する法律 第二十三条、第二十五条|e-Gov法令検索
医療機関と個人での廃棄の違い
医療機関などの事業者が排出するレントゲンフィルムは「産業廃棄物」として廃棄物処理法の対象となります。一方、患者本人が個人として所有するフィルムを廃棄する場合は「一般廃棄物」となり、自治体のルールに従う必要があります。可能であれば自治体指定の回収や専門事業者への相談を優先し、やむを得ず自ら処理する場合は、個人情報が復元できない形での破砕等の配慮が望ましいでしょう。
保存期間を確認してから廃棄する重要性
廃棄作業の前には、必ず法定保存期間を満了しているかを確認しなければなりません。この確認を怠ると、法令違反による罰則のリスクを負うだけでなく、将来の診療や万一の訴訟で必要となる重要な医療記録を永久に失うことになります。廃棄は不可逆的な行為であるため、厳格な確認手順を設けることが医療機関の信頼を守る上で不可欠です。
レントゲンフィルムの適切な廃棄方法
一般ごみとして廃棄できるのか
医療機関などの事業者がレントゲンフィルムを一般ごみとして廃棄することは、法律で固く禁じられています。産業廃棄物に分類されるため、一般ごみとして排出した場合は「不法投棄」となり、違反した場合、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその両方が科される可能性があり、法人にはさらに重い罰則が適用されることもあります。
参照:廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第二十五条、第三十二条|e-Gov法令検索
専門事業者に依頼する方法
適法かつ安全な廃棄は、専門事業者への委託が最も確実です。事業者選定の際は、以下の点を確認しましょう。
- 産業廃棄物処理業の許可:許可証の有効期限や事業範囲を確認する
- 個人情報保護体制:プライバシーマーク取得など、信頼できる情報管理体制か
- 具体的な処理方法:情報が確実に抹消される方法(溶解、焼却など)か
- 廃棄証明書の発行:処理完了の証跡として必ず受領する
個人情報を保護するための処理方法
個人情報を確実に抹消するため、専門事業者は主に「溶解処理」や「焼却処理」などの方法を用いています。溶解はフィルムを化学的に溶かし、焼却は高温で燃やすことで、記録された情報を復元不可能な状態にします。どちらの方法を選択するにせよ、最終的に「廃棄証明書」や「溶解証明書」などの、処理が完了したことを証明する書類を受領し、保管することが重要です。これは、事業者が安全管理義務を果たしたことの重要な証跡となります。
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