【初心者向け】会計監査報告書の基礎知識|保管・管理のポイント

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書庫番人ではコンシェルジュがお客さまそれぞれの保管状況に合わせて適切な書類の管理方法をご提案できるため、保管から廃棄までのトータルコストを最小限にすることができます。

監査で作成される報告書は、企業の信頼を支える重要な書類であり、適切な保管や管理が求められます。しかし、保管期限、管理ルール、廃棄の方法までを正しく理解し、実践できている企業は多くありません。本記事では、会計監査報告書の基礎知識、保管・管理のポイントをわかりやすく解説します。

会計監査報告書の基礎知識

会計監査報告書

会計監査報告書は、企業が作成した財務諸表が会計基準に従って正しく作られているかを確認し、監査人が意見をまとめた報告書です。監査では、企業の財政状態や経営状況を詳しく調べ、数字の信頼性を確認します。報告内容は株主や金融機関などが承認・判断を行う際の重要な資料となります。正確な会計監査報告書の作成は、企業の信用を守り、健全な経営を続けるために欠かせない大切な手続きです。

監査報告書の種類(無限定適正意見、限定付適正意見など)

監査報告書には、監査の結果に応じて4つの種類があります。監査人は、企業の財務諸表を確認し、状況を分析したうえで意見を作成し報告します。以下の表は、主な4つの意見の特徴をまとめたものです。

種類内容承認・信頼への影響
無限定適正意見財務諸表が会計基準に従って正しく作成されていると判断された場合に表明されます。最も高い評価であり、多くの企業がこの意見を得ています。
限定付適正意見一部に問題があるが、財務諸表全体への影響が小さいと判断された場合に表明されます。問題箇所が報告書に記載され、改善点が明確になります。
不適正意見誤りや不備が全体に大きく影響していると判断された場合に表明されます。財務報告の信頼が損なわれ、承認や取り引きに影響を与えます。
意見不表明必要な資料が不足し、監査人が十分な判断を行えなかった場合に表明されます。適正かどうか判断できず、信頼性が低下します。

監査報告書の種類は、企業の信頼性を左右します。無限定適正意見を得るためには、日々の経理処理や内部管理体制を整え、監査人が求める証拠を適切に準備することが求められます。

誰が作成し、誰が受け取るのか

会計監査報告書は、公認会計士や監査法人が会計監査人として作成する書類です。企業の経営者は財務諸表を作成する責任を持ち、監査人はその内容を確認し、独立した立場から意見を報告します。作成された報告書は、まず取締役会や監査役に提出され、承認を受けたあと、定時株主総会で株主に報告、最終的に投資家や金融機関などの利害関係者が閲覧できるように公開されます。

会計監査報告書の保管義務と法的要件

会計監査報告書には、金融商品取引法と会社法により保管が定められています。

金融商品取引法における5年間の保管義務

金融商品取引法では、「有価証券報告書を含む添付書類」の公衆縦覧期間(誰でも閲覧できる期間)を5年としており、これには会計監査報告書が含まれます。

参照:金融商品取引法 | e-Gov 法令検索

会社法における保管期間の規定

会社法第442条では、計算書類などの保管期間が定められています。株式会社は、会計監査報告書を作成日から5年間備え置く必要があります。さらに、その写しを3年間、支店に保管しなければなりません。

参照:会社法 | e-Gov 法令検索

会計監査報告書の適切な管理方法

年度別・種類別の分類とファイリング方法

会計監査報告書を正しく管理するためには、まず年度別に分類することが基本です。各年度の監査報告や承認済みの報告書を整理した上で、「計算書類」「事業報告」「監査報告書」などの種類別にファイリングします。ファイルには「2025年度 会計監査報告書(原本)」のように、年度と内容、原本・コピーの区別を明記します。ラベルを見ただけで作成時期や監査状況がわかるようにしておくと、必要な書類をすぐに取り出すことができます。

原本とコピーの管理ルール

会計監査報告書の原本は、企業の監査や承認内容を正確に証明するために重要な書類です。原本は、耐火金庫や施錠できるキャビネットなど安全性の高い場所に保管します。日常の閲覧や報告の確認にはコピーを使用し、原本への直接の取り扱いを避けます。コピーの持ち出しや廃棄も社内ルールを設け、監査状況の記録が適切に管理されるよう徹底することが重要です。

電子データでの保管は可能か

電子帳簿保存法の改正により、会計監査報告書も電子データでの保管が可能になりました。ただし、事前に被監査会社の承諾を得る必要があります。

さらに、電子データで保管する際は、改ざん防止措置や検索機能の確保など、法律で定められた要件を満たす必要があります。

参照:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則 | e-Gov 法令検索

会計監査報告書の管理でよくある悩みと解決法

保管スペースの確保が難しい

紙で作成された会計監査報告書などをまとめたファイルを長期間保管する場合、オフィスのスペースが不足しやすくなります。監査報告や承認済みの書類は年々増加し、保管状況の管理も複雑になります。保管場所の確保が難しいときは、電子化を進めることが有効です。サーバーやクラウドを利用すれば、物理的なスペースを使わずに安全に保管できます。また、報告書を書類保管サービスに預け、セキュリティ管理の行き届いた環境で保管する方法もあります。

必要なときにすぐに見つけられない

会計監査報告書を必要なときにすぐに見つけられない状況は、管理体制の不備によって起こります。監査や承認に関する書類が増えるほど、作成日と報告内容の整理が重要になります。全社で統一したファイリングルールを定め、担当者以外でも探せる仕組みを整えることが大切です。書類管理台帳を作成し、作成日時・保管場所・担当者を明記すると検索が容易になります。電子化して検索機能を活用すれば、監査状況の確認や報告書の照会も迅速に行えます。

災害や情報漏洩のリスクが心配

地震、火災、水害などの災害は、会計監査報告書のような重要書類に大きな影響を与えます。監査報告や承認内容が記載された書類が失われると、経営状況の確認・再報告が困難になります。災害対策として、電子化とバックアップを行うことが有効です。データを複数の場所で保管すれば、万が一の被災時にも安全に復元できます。また、暗号化やアクセス権の設定を行うことで、外部からの不正アクセスと情報漏洩を防ぐことができます。

会計監査報告書の保管は「書庫番人」にお任せ

保管義務がある会計監査報告書は、その管理にスペースやセキュリティの課題がつきものです。書類保管サービス「書庫番人」なら、1箱から低コストで、厳重なセキュリティ環境下で重要書類をお預かりします。Web上で簡単に預け入れや取り出し依頼ができ、必要なときにすぐ原本を確認できます。保管期間が過ぎた会計監査報告書は、機密情報を守る溶解処理で安全に廃棄することも可能です。煩雑な書類管理から解放され、本来の業務に集中しませんか。

この記事を書いた人

書庫番人コラム編集犬

書庫番人コラム編集犬

書類管理・機密文書廃棄などのオススメ方法を中心に皆様のお役立ちコラムを執筆している犬です。コラムを読んでも分からなかったことはお気軽に書庫番人のお問い合わせフォームからお問い合わせください。