電子化業務とは?メリットから進め方まで徹底解説【初心者向け】

働き方改革やDX推進が求められる今、「業務の電子化」は企業にとって重要な経営課題です。「何から始めればいいかわからない」「どのようなメリットがあるの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、業務電子化の基本から具体的なメリット、注意点、失敗しないための進め方を3ステップで解説します。初心者の方でも安心して取り組めるよう目的別のツールも紹介します。ぜひ自社の生産性向上の第一歩としてお役立てください。

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そもそも「電子化業務」とは?基本をわかりやすく解説

業務の電子化とは、これまで紙媒体で扱っていた書類や資料をデジタルデータに変換し、業務プロセスを効率化することです。単に紙をなくす「ペーパーレス化」と同じ意味で語られることも多いですが、本質的にはデジタル技術を活用して業務プロセスそのものを改善する「デジタル化」への第一歩と位置づけられます。例えば、紙の請求書をスキャンしてPDF化する行為が「電子化」であり、そのPDFデータを会計システムに取り込み、支払い処理まで自動化する仕組みを構築することが「デジタル化」に該当します。

なぜ今、業務の電子化が重要なのか?

現代のビジネス環境で、業務の電子化は企業の競争力を維持するために不可欠な要素です。その背景には、働き方改革の推進や労働人口の減少などの社会的な変化があります。電子化によって、テレワークをはじめとする多様で柔軟な働き方を実現し、場所を選ばずに業務を遂行できる環境を構築可能です。さらに、経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」問題も、電子化の重要性を浮き彫りにしています。この問題は、老朽化した既存システムが足かせとなり、デジタル化が進まなければ2025年以降、日本企業が大きな経済的損失を被るというシナリオを示しています。業務プロセスの非効率性を解消し、生産性を向上させるためにも、電子化への取り組みは急務といえるでしょう。

知っておきたい関連法律(電子帳簿保存法・e-文書法)

業務の電子化を進める上では、関連する法律を理解することが不可欠です。特に「電子帳簿保存法」と「e-文書法」は、国税関係の帳簿や書類の電子保存に関する重要なルールを定めています。

電子帳簿保存法

各税法で原則として紙での保存が義務付けられている国税関係の帳簿書類について、電子データによる保存を認める法律です。1998年に制定されて以降、複数回の改正を経ており、特に2022年1月の改正では、電子取引で授受した電子データは電子データのまま保存することが義務化されました。この法律は、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの区分に分かれています。

参照:電子帳簿保存法の概要|国税庁
参照:電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁

e-文書法

正式名称を「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」といいます。従来、紙での保存が義務付けられていた書類(会社法や商法、税法などで定められた書類)を、スキャンした電子データで保存することを容認する法律です。これにより、多くの法定保存書類のペーパーレス化が可能となりました。

参照:民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律|e-Gov法令検索

電子化業務のメリットと知っておくべき注意点

コスト削減だけじゃない!業務を効率化するメリット

電子化によるメリットは、単なるコスト削減にとどまりません。

・業務効率化と生産性の向上

書類を探す時間が大幅に短縮され、情報の検索性が格段に向上します。また、回覧や承認などのプロセスがオンラインで完結するため、意思決定の迅速化にもつながります。

・多様な働き方への対応

書類がデータ化され、クラウドなどで管理されていれば、場所を問わずに情報へアクセスできます。これにより、テレワークやリモートワークなどの柔軟な働き方が可能になります。

・セキュリティとBCP(事業継続計画)対策の強化

書類を電子化し、アクセス権限の設定やバックアップを行うことで、情報漏洩、紛失、改ざんなどのリスクを低減できます。また、災害などの緊急時でもデータの消失を防ぎ、事業の継続性を確保することにつながります。

・情報共有の円滑化

最新の情報をリアルタイムで共有できるため、部門間の連携がスムーズになり、業務の属人化を防ぐ効果も期待できます。

導入前に確認したい注意点(デメリット)と対策

一方で、電子化を進める際には以下の点に注意が必要です。

・システム導入・運用のコスト

スキャナーや書類管理システム、クラウドサービスなどの導入には、初期費用や月額費用が発生します。費用対効果を十分に検討し、計画的に導入することが求められます。

・セキュリティリスクへの備え

サイバー攻撃や不正アクセス、ヒューマンエラーによる情報漏洩のリスクは常に存在します。アクセス権限の厳格な管理、セキュリティソフトの導入、従業員への教育などの対策が不可欠です。

・業務フローの見直しと定着

新しいシステムの導入は、従来の業務フローの変更を伴います。変更による一時的な混乱や、従業員のITリテラシーによってはスムーズに移行できない可能性も考慮し、丁寧な周知と研修、マニュアルの整備が必要です。

・システム障害への対応

システム障害やネットワークトラブルが発生した場合、業務が停止するリスクがあります。定期的なバックアップや、オフラインでも作業できるような代替手段を確保するなど、事前の対策を講じておくことが重要です。

失敗しない!電子化業務の進め方3ステップ

Step1:目的と対象範囲を明確にする

まず、「何のために電子化するのか」という目的を明確にすることが最も重要です。「コストを削減したい」「テレワークを推進したい」「意思決定を迅速化したい」など、具体的な目的を設定することで、その後のプロセスがぶれにくくなります。次に、電子化する書類の範囲と優先順位を決定します。全ての書類を一度に電子化するのは現実的ではありません。日常的に利用頻度が高い書類や法的に保存義務のある書類など、効果が出やすく重要度の高いものから着手するのが成功の鍵となります。

Step2:運用ルールを定め、適切なツールを選ぶ

目的と対象範囲が定まったら、具体的な運用ルールを策定します。ファイル名の付け方、フォルダの階層構造、保存期間、アクセス権限などをあらかじめ決めておくことで、電子化後のデータの検索性や管理が容易です。ルールが決まったら、目的に合ったツールを選定します。書類管理システムやクラウドストレージ、電子契約サービスなど、さまざまなツールが存在します。自社のセキュリティポリシーや既存システムとの連携性、そして何よりも従業員が直感的に使えるかどうか、という視点で慎重に選ぶことが必要です。

Step3:スモールスタートで導入し、効果を検証する

いきなり全社的に導入するのではなく、特定の部署やチームに限定して試験的に導入する「スモールスタート」が有効です。運用してみることで、想定していなかった課題や改善点が見えてきます。導入後は、定期的に効果を検証することが不可欠です。当初設定した目的が達成できているか、業務効率はどの程度改善されたかなどを評価し、現場のフィードバックも取り入れながら、運用ルールやツールの設定を継続的に見直していきます。このPDCAサイクルを回すことで、電子化の効果を最大化できるでしょう。

【目的別】代表的な電子化ツール・システムの種類

書類を一元管理する「書類管理システム」

書類管理システムとは、電子化した書類を効率的に保管、検索、管理、廃棄するための一元的なプラットフォームです。契約書や稟議書、製品の設計図など、社内に散在するあらゆる書類のライフサイクル(作成から廃棄まで)を一貫して管理できます。このシステムの主な機能には、キーワードによる高速な検索機能、書類のバージョン管理、アクセス権限の設定によるセキュリティ強化などがあります。これにより、書類を探す手間が省け、情報漏洩のリスクを低減しながら、ペーパーレス化を促進することが可能です。

契約をオンラインで完結させる「電子契約サービス」

電子契約サービスは、従来、紙と印鑑で行っていた契約締結プロセスをクラウド上で完結させるサービスです。電子ファイル化された契約書に電子署名やタイムスタンプを付与することで、法的な効力を持たせることができます。このサービスを導入することで、契約書の印刷、製本、郵送、印紙の貼付などの手間とコストが不要です。また、契約締結までのリードタイムが大幅に短縮され、契約書の保管や管理も容易になるなど、業務効率を飛躍的に向上させます。

経費精算や請求書発行を効率化するシステム

経費精算システムや請求書発行システムは、経理業務の電子化に特化したツールです。経費精算システムは、交通費や出張費などの申請から承認、仕訳、支払いまでの一連の流れを自動化します。スマートフォンのアプリで領収書を撮影するだけでデータが自動入力される機能などがあり、申請者の手間を大幅に削減可能です。一方、請求書発行システムは、請求書の作成から送付、入金管理までを効率化します。これらのシステムを導入することで、手入力によるミスを防ぎ、経理担当者の負担を軽減すると同時に、ペーパーレス化を促進し、月次決算の早期化にも貢献します。

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この記事を書いた人

書庫番人コラム編集犬

書庫番人コラム編集犬

書類管理・機密文書廃棄などのオススメ方法を中心に皆様のお役立ちコラムを執筆している犬です。コラムを読んでも分からなかったことはお気軽に書庫番人のお問い合わせフォームからお問い合わせください。