売買契約書の保管期間とは?管理のポイントについても解説!

「売買契約書をいつまで保管するべきなのか」という疑問は、事務の仕事をする上でよくある悩みの1つです。正確な保管期間を把握することは、業務を効率化し、将来の法的トラブルを防ぐために不可欠です。多くの場合、法的な規制や社内のポリシーによって保管期間が決まりますが、それらを守りつつ、スペースと管理の効率を考える必要があります。

この記事では、売買契約書の保管期間の基本から保管期間を最適化するための具体的な方法までをわかりやすく説明します。書類の整理がもたらすメリットを最大限に活かし、スムーズな情報管理を実現していきましょう。

売買契約書とは

売買契約書とは、商品や企業サービスを扱う企業間の売買取引で合意された条件を書類化したものです。民法上の規定によれば、売買契約が成立するために書面での契約を結ぶ必要はありません。売主と買主が口頭で「売りたい」「買いたい」と意思を交わせば、それだけで契約は成立すると見なされるためです。しかし、民法上での作成義務はなくても、取引の証拠として後日のトラブル回避や誤解を避けるために、売買契約書の作成と保管は極めて重要です。

誤解しやすい点として、その他の法人関係の契約書などには、法律で定められた作成義務や特定の保管期間の厳守が存在します。間違いがないように注意を払い、法律的なリスクを避け、事業の信頼性を保っていきましょう。

各種売買契約書の種類

売買契約書は、ビジネスの世界において不可欠な書類であり、取引の種類、対象となる商品や企業サービスの性質によってその形式や内容が大きく異なります。売買契約書は、特に物品売買契約書と不動産売買契約書に分けて考えることが一般的ですが、これらはそれぞれの特性に合わせてさまざまな細かな事項が定められます。

物品売買契約書

物品売買契約書とは、商品の取引に際して作成される書類であり、商品の売買に関する取り決めを明確にするために使われます。物品売買契約書には、取引される物品の名称、製造番号、仕様などの詳細な情報が記載されていて、売主と買主の間での認識のくいちがいを防ぎます。また、契約の内容が一般的な法的規定から外れる特別な条件を含む場合には、契約書に詳しい記入が必要です。例えば、商品の独自の返品ポリシーや保証期間、標準的な取引条件とは異なる特定の合意事項などは、契約書に明確に定められるべき事項となります。物品売買契約書は企業間取引だけでなく、個人間の売買においても広く用いられています。

正しい物品売買契約書の作成は、将来的なトラブルを避ける上での安心策となり得るためです。

不動産売買契約書

不動産売買契約書とは、土地や建物などの不動産を売買する際に交わされる重要な書類です。不動産売買契約書は法的には必須の書類ではありませんが、不動産取引は金額が大きく複雑なものであるため、取引の内容をはっきりと定めるために実務では不可欠です。不動産売買契約書には、物件の正確な位置、面積、権利関係、そして支払いの条件などの取引情報を詳細に記さなければいけません。一般的には、仲介を行う不動産会社が作成する場合が多いですが、個人間で取引を行う場合は両者が共に内容を慎重に検討し、合意に至るまで細かく書き記す必要があります。

正しい不動産売買契約書の作成は、将来的な問題が生じた際に不可欠であり、両者の利益を保護するための法的な盾ともなります。そのため、不動産の売買に際しては細心の注意を払って契約書を作成して保管しましょう。

その他の売買契約書

その他の売買契約書には、債権や株式といった貴重な資産の譲り渡しを決める書類があります。例えば、株式を売るときには、どれだけの株をどのような条件で売るかを明確に書きます。その結果、「約束と違う」のような後のトラブルを避けられます。知的財産の取引にも同様なことが言えるでしょう。これらの契約書はビジネスを明確にし、安心して取引できるような役割を持っています。

売買契約書の保管期間

売買契約書の正確な保管は法的な義務を果たすだけでなく、事務職が業務の効率化と整理の最適化を図る上での重要なステップです。保管期間の把握は、事務処理の質を高め、毎日の作業の効率を向上させるのに欠かせません。さらに、保管期間を守ることは、税務調査などで要求されたときに、迅速に情報を提供する能力を確保するためにも役立ちます。

効率的な保管期間

売買契約書の保管期間を適切に考慮することは重要です。管理をシンプルにすることで法律にも準拠でき、業務効率アップにも繋がるでしょう。

売買契約書は、会社法に基づき最長の保管期間を10年と定められています。そのため、実務上ではこの一律の10年間の保管期間を採用することにより、さまざまな法律によって定められた異なる保管期間を一つ一つ追跡する手間を省けます。全ての契約書類を10年間保管することによって、保管作業の管理を楽にするだけでなく、いつ廃棄すればよいかの判断も簡単になるでしょう。さらに、書類の迅速な検索と取り出しが可能になり、保管スペースも効率的に使用できるため事務の作業効率が向上します。最終的には事務作業の効率を高めると同時に法的リスクを避けることにもつながります。

効率的な保管期間の設定は時間とリソースを節約するだけでなく、事務処理の精度も向上させるため、組織全体の生産性に貢献できるでしょう。

保管期間の起算日

保管期間の起算日は、売買契約書をいつから保管しはじめるかを示す日付です。この起算日は保管する期間の長さを決める基点となり、契約の内容や成立の状況によって変わることがあります。

法律上の規定で、売買契約書の場合は通常、契約が終了した日、つまり最後の義務が履行された日や解除された日が起算日とされています。これを基準にして保管期間を計算し、契約書がいつまで企業によって管理される必要があるかを決定しましょう。

適切な起算日の把握は、保管期間の法的要件を満たすことはもちろん、企業の書類管理システムの正確性を保つ上で重要な役割を果たします。

不動産売買契約書は永久保管がオススメ

不動産売買契約書は、土地や建物などの不動産取引における売り手と買い手の合意内容を法的に保証する書類です。契約終了後も不動産売買書類は大きな価値を持ち続けます。それは、将来的になんらかの問題が生じた場合、契約書がその解決の鍵となる重要な証拠になる可能性があるからです。

例えば、物件に欠陥が見つかったとき、契約書はその欠陥があったことを示し、瑕疵担保責任※の有無を立証するのに不可欠となります。
※瑕疵担保責任とは、売主が売った物件に隠れた欠陥があった場合に負う法的な責任です。

瑕疵担保責任は、売主が物件の欠陥を知っていたか、知るべきだったかという点に基づいて、責任の有無が問われます。また、購入後に財務上の問題が発覚した場合、契約書は資金の流れや当初の評価を確認するための基本資料となります。

不動産売買契約書を永久に保管することが推奨されるのは、将来起こりうるあらゆる事態に備えるためです。不動産は通常、長期間保有される資産であり、その価値や管理に関する問題が数十年もの間関連してくることが多いです。そのため、これらの契約書を永久に保管することは、法的な必要性を超えて未来の資産価値を守ること、企業の歴史を記録すること、そして過去の取引に関する明確な記録を保持するための戦略的な判断になります。

売買契約書の効率的な管理方法

売買契約書の管理は、ビジネス運営において欠かせない基本作業です。効率的な管理を実現するためには、紙ベース、電子データ、専門の書類保管サービスの3つの主要な方法が考えられます。これらの方法を選択する際にはコスト、使用頻度、書類の重要度といった要素を総合的に考慮し、ビジネスのニーズに最適な保管方法を選ぶことが大切です。売買契約書の保護と活用のバランスを取りながら、効率的なビジネス運営をしていきましょう。

紙ベースで保管

紙ベースでの保管は技術的な専門知識を必要とせず、書類の量が少ない場合は管理が比較的簡単というメリットがあります。しかし、大量の書類を扱う場合は物理的な保管スペースの問題、紙の経年劣化、さらには紛失のリスクなどが伴います。これらの問題を避けるためには、整理と分類を行い、定期的な確認と保守をすることが重要です。

電子データで保管

電子データで保管する方法は、改ざんを防ぐと同時に書類の検索と取り出しを高速化するメリットがあります。データベース管理やクラウドストレージを用いることで、保管に必要な物理的スペースを大幅に削減し、場所を選ばないアクセスが可能になります。ただし、この方法ではデータのセキュリティとバックアップ体制の構築が必須です。

専門の書類保管サービスで保管

専門の書類保管サービスを利用することは、セキュリティが高く、保管環境が管理されているというメリットがあります。書類保管サービスの利用は書類の保管だけでなく、取り出しや検索の効率を高め、紛失や破損のリスクを最小限に抑えます。また、必要な書類を迅速に取り出すことができるため、緊急時の対応もスムーズになるでしょう。

キーペックスの「書庫番人」なら売買契約書の保管も楽々

長期にわたる書類の保管は多くのスペースを必要とし、管理も一筋縄ではいきません。ここで役立つのがキーペックスが提供する書類保管サービス「書庫番人」です。「書庫番人」なら保管に関する一般的な悩みを一掃して、大切な書類を安全かつ効率的に保管するための解決策を提供します。書類が適切な環境で保管されることはもちろん、必要に応じた迅速な取出サービスも利用が可能です。書類の保管期間が終了したら廃棄の手続きもサポートするため、書類管理のライフサイクルがずっと簡単になります。さらに「書庫番人」はオプション料金でお客様のところに出向き、書類の分類のお手伝いをするサービスも提供しているため書類保管サービスの利用がはじめての方にもオススメです。

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この記事を書いた人

書庫番人コラム編集犬

書庫番人コラム編集犬

書類管理・機密文書廃棄などのオススメ方法を中心に皆様のお役立ちコラムを執筆している犬です。コラムを読んでも分からなかったことはお気軽に書庫番人のお問い合わせフォームからお問い合わせください。