法定保存文書とは?保存期間の目安から管理・処分のベストな方法

ビジネスを運営する上で欠かせない法定保存文書は、法律で定められた期間保存する必要がありますが、その種類や保存期間、適切な管理方法を把握しているでしょうか。保存期間が過ぎた文書の処分にも注意が必要です。本記事では、法定保存文書の基本から、保存期間の目安、効果的な管理・保存方法、手間を減らすための便利なサービスについて徹底解説します。大切な書類を適切に扱い、業務効率を向上させましょう。

法定保存文書とは何か?

法定保存文書とは、企業活動で作成や受領される書類の中で、法律により保存が義務付けられている文書です。これらは経理、税務、人事、労務、医療、建設業務など、多岐にわたる分野に存在します。企業が法令を守り、適切に運営するためには、法定保存文書について正確に理解することが求められます。これらの文書には、多くの場合、保存期間が明確に定められています。例えば、領収書は法人税法に基づき、事業年度終了日の翌日から7年間の保存が必要です。給与明細や契約書についても、それぞれ関連する法律によって保存期間が異なります。さらに、こうした文書は監査や調査の際に速やかに提出できる状態で整理されていなければなりません。一方で、法令で定められた期間を超えた保存を企業独自の判断で行うケースもあります。

不適切な管理や保存期間の未達成は、法令違反にとどまらず、企業の信用を大きく損ねる可能性があります。そのため、全ての法定保存文書について、保存期間を把握し、適切な管理を行うことが重要です。

種類別に見る保存期間の目安

ビジネスや法務の現場では、書類を適切に管理することが、業務の効率化や法的リスクの回避に直接影響します。書類は種類ごとに保存期間が異なるため、それぞれの特徴を把握し、必要な期間のみ保存することが必要です。

保存期間の目安表

書類カテゴリ書類名保存期間起算日注意点
経理・税務計算書類・附属明細書(貸借対照表など)10年株主総会の日財務監査や調査に備え厳重管理が必要
経理・税務会計帳簿(総勘定元帳、補助簿など)10年帳簿閉鎖時紛失防止のためデジタル保存推奨
経理・税務取引帳簿(仕訳帳、売掛帳など)7年確定申告書提出期限の翌日税務調査時に対象となるため迅速な検索が可能な管理が必要
経理・税務領収書、請求書など7年確定申告書提出期限の翌日デジタル保存で物理スペース削減を推奨
経理・税務監査報告書5年株主総会の日金融機関や監査法人は法定保存を遵守
人事・労務労働時間記録(タイムカードなど)5年賃金支払期日労働紛争時の証拠となるため正確な管理が重要
人事・労務健康診断記録(一般、特定化学物質など)5年作成日一部の有害業務関連記録は30年保存が必要
人事・労務雇用保険関連書類(離職証明書など)3年完結の日個人情報保護法に基づいた適切な廃棄処理が必要
総務・庶務株主総会議事録、取締役会議事録10年株主総会の日企業運営の合法性担保に必要
総務・庶務契約書(満期・解約済み)10年満期または解約の日経営判断や紛争時の証拠となるため厳重管理が必要
総務・庶務産業廃棄物管理票(マニフェスト)5年伝票送付日または契約終了日適切な廃棄処理の証明資料として重要
総務・庶務四半期・半期報告書3年提出日法定監査や報告義務履行のため必要

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法定保存文書を適切に管理する方法

法定保存文書の管理は、企業活動を支える重要な基盤です。ここでは、実践しやすい管理手法について解説します。

1.自社基準の策定

まず、法令で定められた保存期間を踏まえ、自社の業務フローに適した保存ルールを設定しましょう。これにより、文書管理が統一され、効率化が図れます。

2.文書の体系的な分類

設定した基準に基づき、文書を用途や保存期間に応じて分類します。「長期保存」「短期保存」などのカテゴリに分け、定期的に見直すことで、分類ミスを防ぎつつ柔軟に対応可能です。

3.保存方法の選択と実施

保存形式には、紙媒体での保管、電子化による管理、外部倉庫の利用などがあります。社内で保管する場合は、アクセス制限を含むセキュリティ対策が必要です。一方、外部倉庫を利用する場合は、コストや取り出しの手間も考慮しましょう。

4.定期的な管理体制の見直し

文書管理の質を向上させるためには、保存文書の定期的なチェックが不可欠です。不要な文書を適切に廃棄し、必要に応じて保存期間を延長することで、最新の業務や法規制に適応できます。

これらの取り組みを実践することで、効率的かつ柔軟な文書管理体制を構築できます。

オススメの保存方法と保存形式

法定保存文書を管理する際、適切な保存方法を選択することは、業務効率の向上だけでなく、法的リスクの回避にも欠かせません。紙媒体とデジタルのそれぞれにメリットがあるため、目的や文書の特性に応じて使い分けることが重要です。

紙媒体での保存

紙媒体での保存は、特定の書類を物理的に確認可能な状態で維持したい場合に適しています。書類の種類や使用頻度に応じて保存方法を工夫することで、効率的な管理が可能となります。

・分類とファイリング

書類は、種類別、月別、取引先別などに分類し、キャビネットや棚にファイリングするのが基本です。特に法定保存文書については、保存期間が明確に定められているため、保存期限ごとに分けておくことで廃棄作業がスムーズになります。

・セキュリティの強化

不正な持ち出しや閲覧を防ぐために、鍵付きキャビネットの使用や入室制限を設けましょう。さらに管理台帳を作成し、どの書類がどこに保存されているかを明確にしておくことで、必要な書類への迅速なアクセスが可能になります。

・保存の工夫

長期保存が必要な書類については、防湿対策や耐火キャビネットの導入を検討するとよいでしょう。湿気や火災による劣化を防ぐことで、書類を安全に保管できます。

デジタルでの保存

デジタル保存は、紙媒体の課題を解消し、管理の効率化を可能にする手法です。法定保存文書を電子化することで、保管スペースの削減や検索性の向上が期待できます。

・スキャナ保存の活用

紙書類をスキャンして電子データ化することで、原本を廃棄することが可能になります。ただし、この際には電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。特に証憑書類については、基本的にデータのタイムスタンプ付与や検索機能の対応が必要となるため、適切なシステムを導入することが推奨されます。

・クラウドストレージの活用

電子データをクラウドに保存することで、複数拠点からのアクセスが可能となり、災害リスクも軽減されます。また、データの安全性を高めるためにバックアップを含む二重保存の実施が推奨されます。

・電子データの管理ルールの整備

電子化された文書を効率的に管理するためには、保存期間やアクセス権限を明確化することが重要です。さらに、検索性を向上させるために、ファイル命名規則やタグ付けのルールを整備しておくことが望ましいでしょう。

保存期間が過ぎた法定保存文書の正しい処分方法

業務を効率的かつ安全に進めるためには、保存期間を過ぎた書類を適切に処分することが不可欠です。特に、法定保存文書には機密情報が含まれることが多く、情報漏洩を防ぐために確実で信頼性の高い方法を選択する必要があります。

1.シュレッダーでの裁断処理

シュレッダーを使う方法は、最も手軽で広く普及している書類処分の手段です。文書を細かく裁断することで、内容が読み取られるリスクを大幅に軽減できます。この方法は、オフィス内で簡単に実行できるため、多くの企業で採用されています。ただし、シュレッダー選びには注意が必要です。裁断が粗いタイプでは内容が復元される可能性があるため、クロスカットやマイクロカット機能を備えた機種が推奨されます。一方、大量の書類を処分する際には時間がかかるというデメリットがあります。

2.溶解処理サービスの利用

さらに高い安全性を求める場合は、溶解処理サービスを活用する方法が有効です。この方法では、書類を引き取って専用施設で溶解処理を行うため、大量の書類でも効率よく処分できます。溶解後は書類の内容が完全に判別不可能になるため、情報漏洩リスクをほぼゼロに抑えられます。また、処理後に発行される「処理証明書」は、監査対応や顧客への説明責任を果たす際に役立ちます。安全性を最優先する企業にとっては最適な選択肢と言えるでしょう。

3.電子データの確実な削除

電子データは個人情報を含むデータを除き、保存期間を過ぎても問題になることは少ないですが、削除する際は復元が不可能な形で確実に削除することが求められます。ただゴミ箱から削除するだけでは不十分で、専用のデータ削除ソフトを利用することが推奨されます。さらに、パソコンや保存媒体を廃棄するときは、データ削除後に証明書を発行できるサービスを活用すれば、信頼性を一層高めることが可能です。

書類保管サービスで保存管理業務をスムーズにする

企業が抱える法定保存文書の管理には、スペース確保や作業負担といった課題が伴います。しかし、書類保管サービスを利用することで、これらの負担を大幅に軽減することができます。書類保管サービスは、セキュリティが万全に整備された専用倉庫で文書を保管する仕組みを提供しており、社内の保存スペースを効率化するだけでなく、紙媒体や電子データの両方を安全に管理することが可能です。

また、多くのサービスでは、WEB管理システムを利用して保存文書の一覧確認や廃棄時期の通知機能を提供しており、文書管理の効率化を支援します。サービスを選ぶ際には、保管場所の厳密なセキュリティ管理や災害対策が施されているかを確認することが重要です。さらに、書類の取り出しや検索がスムーズに行えるオンラインのアクセス性や検索機能も重視すべきポイントです。

これらの機能を活用することで、文書管理を効率化するだけでなく、企業全体の業務生産性の向上も期待できます。書類保管サービスを導入すれば、煩雑な書類管理から解放され、より本質的な業務に集中できる環境を整えることができるでしょう。

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この記事を書いた人

書庫番人コラム編集犬

書庫番人コラム編集犬

書類管理・機密文書廃棄などのオススメ方法を中心に皆様のお役立ちコラムを執筆している犬です。コラムを読んでも分からなかったことはお気軽に書庫番人のお問い合わせフォームからお問い合わせください。