労働基準法により、労働者名簿の保存期間は5年間と定められています。この記事では、労働者名簿の保存に迷わないよう、「労働者名簿とは何か」「保存期間」「保存方法」などについてわかりやすく解説します。
労働者名簿とは?
まずは「労働者名簿」とはなにかについて触れておきましょう。
労働者名簿とは、法定三帳簿(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿)の一つであり、従業員の情報を記載したものです。労働基準法第107条により、従業員を雇う場合には正社員・パート・アルバイトなどの雇用形態に関係なく、労働者名簿を作成する義務があります。例外として、日雇い労働者には労働者名簿の作成義務はありません。また、派遣社員に関しては、派遣元の会社のみ労働者名簿を作成する義務があります。
労働者名簿を含む法定三帳簿は、労働基準監督署の調査の際にもよく確認される書類のため、しっかりと管理する必要があります。従業員の雇用・退職などがあった際には、速やかに労働者名簿を更新できるよう体制を整えておきましょう。
労働者名簿の保存期間
労働者名簿の保存期間:5年間
起算日:労働者の死亡、退職又は解雇の日
労働者名簿の保存期間は労働基準法第109条にて定められており、5年間とされています。
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。
労働基準法第109条
起算日(保存期間の数えはじめの日)も労働基準法施行規則第56条にて定められており、労働者の死亡、退職又は解雇の日が起算日となっています。
また、2020年の民法改正前までは労働者名簿の保存期間は3年間と定められていました。経過措置としてしばらくは3年間の保存でも構わないとされていますが、法律で5年間の保存が定められている以上、できれば5年間の保存体制を整えておきたいところです。
労働者名簿の必要事項
労働者名簿を作成・保存する際には、必要事項を満たしている必要があります。労働者名簿の必要事項は、以下の9つです。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 業務の種類
- 履歴
- 雇用年月日
- 退職年月日と事由
- 死亡年月日と原因
労働者名簿の形式は特に決まっていないため、各会社で運用しやすい労働者名簿を作成するのがよいでしょう。どのような形式にするか迷った場合は、厚生労働省が配っているテンプレートを使用してもよいかと思います。
労働者名簿に記入する際の注意点として、会社側から従業員を解雇した際や、従業員が死亡した際には、理由を記載する必要があります。特に、従業員が在職中に死亡した場合、労災にあたるかどうかを判断できるようにする必要があるため、死亡の原因を必ず記載しましょう。
労働者名簿の保存方法
労働者名簿などの一度作成したら保存しておくような書類は、「個人別」にまとめて管理するのがよいでしょう。(社会保険関係の書類など、時折変更がある書類や使用頻度の高い書類は書類別の保管が望ましいです)
従業員が退職したあとの労働者名簿は、保存期間が同じく5年間の書類(タイムカードなど)とまとめた上で、同じ年度に退職した社員の書類を一カ所に保存しておきましょう。そうすることで、廃棄の際の手間を少なくすることができます。
労働者名簿の電子保存
労働者名簿は電子上での作成も認められているため、パソコンで作成・管理している企業も多いのではないでしょうか。労働者名簿の電子保存も認められていますが、e-文書法に則って「見読性」を確保した上で保存する必要があります。
「見読性」の確保とは、以下のような要件を満たすことです。
- パソコンなどのディスプレイで内容が確認できること
- すぐに印刷し、確認できる状態にあること
- 労働基準監督官の臨検時等に、検索機能などによりすぐに提出できる状態にあること
- 誤って消去されない状態にあること
- 長期にわたり保存できる環境にあること
労働者名簿を電子保存する場合には、このような要件を満たしていなければなりません。
かさばる書類の管理にお悩みなら
退職者の労働者名簿やタイムカードなど、普段使わない書類を5年間も保存しておくには保存スペースも管理の手間も必要になります。そういった場合には、書類保管サービスの利用をお勧めします。書類保管サービスとは、書類をセキュリティ管理された倉庫で保存できるサービスです。
書庫番人の書類保管サービスであれば、書類の保存期間が満了するタイミングで通知されるため、無駄なコストがかかりません。
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