契約書管理が不十分で良からぬリスクを招いていないでしょうか。この記事では、紙の契約書と電子契約の効率的な管理方法を詳しく解説します。契約書管理を改善し、よりスムーズなビジネス運営を実現しましょう。
契約書管理とは
契約書管理は、企業間取引や労働者との雇用など、さまざまな契約に関する書類、有効期限、取引内容を効率的に管理する重要なプロセスです。契約書には、売買契約書、請負契約書、委任契約書、秘密保持契約書(NDA)、雇用契約書、金銭消費賃貸契約書など多岐にわたり、それぞれに異なる取引内容、納期限、権利、禁止事項が定められています。近年では、契約書の作成・保管や契約締結をオンラインで完結させる、契約書の電子化や電子契約が普及しています。
契約書管理が不十分なときのリスク
契約書管理が不十分だと、企業に多様なリスクが生じる可能性があります。原本の紛失から情報漏洩まで、どのような問題が発生するか見ていきましょう。
問題 | 詳細 |
---|---|
原本の紛失 | 契約内容を証明する手段がなくなり、トラブル時に契約違反を指摘できなくなるリスクの増加や貴社の契約遵守を主張することが困難になる |
共有漏れ | 契約書が社内で適切に共有されていない場合、社員が契約内容を把握できず、業務が円滑に進まないことがある |
契約違反や法令違反 | 意図せず契約違反や法令違反を犯してしまい、取引先との信頼関係に傷がついてしまう |
時間の浪費 | 契約書を探すのに時間がかかり、業務効率が低下する |
情報漏えい | 企業の評判を大きく損ねる原因となり、深刻なリスクを引き起こす可能性がある |
契約書管理の改善方法
契約書管理の改善は、企業運営の効率化とリスク低減に直結します。適切な手法とルールを改善し、契約をスムーズかつ安全に行っていきましょう。
契約書管理ルールの見直し・規定
契約書の管理が不十分だと感じたら、まずは管理ルールの見直しと再規定をするとよいでしょう。特に、契約書情報の一元化と検索性の向上は重要で、これにより営業機会の損失防止やリスク回避が可能になります。
担当者の設定と教育
効果的な契約書管理システムを築くには、専門知識を持つ担当者を選び、適切な研修を行うことが欠かせません。担当者は契約書の分類、アップデート、取り出し、返却など、日々の管理業務において重要な役割を担います。また、緊急時の対応策や情報漏洩防止策についても十分に熟知している必要があります。
契約書運用の管理体制の構築
契約書管理の責任者を選定し、その人物が中心となって管理体制を整備します。次に、契約書管理台帳を作成し、契約内容、有効期限、保管場所などを一元管理することが重要です。
レビューと監査の実施
契約書管理プロセスは、定期的なレビューと監査を通じて、常に最新の状態を保つようにすることが重要です。このレビューにより、管理プロセスのギャップを特定し、必要な改善策を迅速に実施できます。例えば、新しい規制の導入や業界の変化に伴い、保管期間の見直しや新たな分類基準の設定が必要になる場合があります。
契約書には、その種類に応じて法律で定められた保管期間が存在します。例えば、会社法関連の契約書は契約期間が終了してから10年間、経理関連の契約書は法人税の申告期限から5〜10年間の保管が必要です。保管期間が過ぎた契約書は、企業の書類管理規程に従って適切に処理をするべきでしょう。
契約書の保管期間については、法的要件を満たすためにも、ほとんどの契約書を会社法の規定(保管期間が長い方)に合わせ10年間保管することが効率的です。このように保管期間を統一することにより、契約書の管理がよりシンプルになり、効率的に行えるようになります。
電子契約の導入による効率化
契約書管理の効率化を図るために、電子契約の導入がオススメです。契約書の電子化により、ガバナンスの強化や契約のスピーディーな締結が可能になります。
紙と電子契約のメリットデメリット
管理方法を選ぶ前にどちらの方法が貴社のニーズに合うか、確認してみましょう。それぞれのメリットとデメリットをぜひチェックしてください。
紙保管のメリット
- 電子的障害やサイバー攻撃から保護
- 視覚的確認が簡単で欲しい情報が見つかりやすい
- 一覧性があり、並び替えがしやすい
紙保管のデメリット
- 物理的な保管スペースが必要
- 災害による紛失リスク
- 情報アクセスの遅延(物理的共有が必要)
- 物理的保管場所のセキュリティ問題
電子保管のメリット
- 保管スペース・コストの削減
- 迅速な情報検索
- バックアップデータでデータ消失のリスクを削減
- 原本の損傷を抑える
- 業務の効率化
- コンプライアンス強化
電子保管のデメリット
- システム導入や社員教育に初期費用が必要
- 高度なセキュリティ対策が必要
電子データの保護には、全ての契約書を電子化することが法律的に許されているわけではありません。例えば、事業用定期借地契約や企業担保権の設定・変更を目的とする契約、任意後見契約書などは、法律上電子化することができない書類です。これらの契約書は公正証書として正式に認証する必要があるため、紙の形式で管理することが求められます。
紙で保管する方法
紙の契約書は、デジタル化が進む現代でも、依然として多くの企業で広く使用されています。これらの書類を効率的かつ安全に管理することは、企業運営のスムーズさを保つ上で非常に重要です。紙の契約書を適切に保管し、管理するための方法について詳しく紹介していきます。
契約書の分類と管理
紙の契約書は電子契約書と異なり、物理的なスペースを占めるため、ファイリングシステムの効率化が求められます。まず、取引先名、テーマ、ジャンル、プロジェクト名、年度、日付など、目的に応じた分類方法を設定します。例えば、取引先名の50音順でファイルを整理することで、必要な契約書を迅速に見つけ出すことができるでしょう。また、台帳を作成して契約書の内容、有効期限、保管場所を一元管理することも、情報の即時性と安全性を確保する上で有効です。
保管場所の安全性の確保
契約書の物理的保管場所を選定する際には、安全性を最優先に考えましょう。水害や火災などの自然災害から保護するため、適切な防災対策を施した保管スペースを確保してください。また、不正アクセスや情報漏えいを防ぐために、アクセス制限を厳しく設定し、定期的にその遵守状況をチェックすることも重要です。
集中管理と分散管理
契約書の管理方法には「集中管理」と「分散管理」の2つがあります。集中管理は、書類を本社の書類管理部門で一括して管理する方法です。紙の契約書の紛失リスクを減少させることができますが、必要なスペースとコストを増大させてしまいます。一方、分散管理は、部門ごとや地域ごとに契約書を分けて管理する方法です。各部門が必要な書類に迅速にアクセスできますが、管理が煩雑になる可能性があります。企業の規模や運用の実情に応じて、最適な管理方法を選択していきましょう。
契約書を電子化する方法
契約書管理を効率化するには、電子化することもオススメです。電子化にはエクセル台帳、文書管理システム、そしてクラウド型電子契約サービスなど、さまざまな方法があります。各ビジネスに最適な電子化方法を見つけましょう。
エクセル台帳による管理
エクセル台帳は、契約書管理の基本的な方法の1つです。契約書データを丁寧にファイルごとにわけ、その場所と契約内容、有効期限、契約相手などの情報をエクセルの表にまとめていきます。エクセルは多くの企業で使われているため、導入は比較的簡単です。しかし、エクセルは情報量が増えると管理が煩雑になり、検索性や視認性が低下することがあります。エクセルファイル自体のセキュリティ対策も必要です。法的な要件をクリアしているかのチェックもひとつひとつ手作業での確認となるため、小規模な企業以外では推奨できない管理方法です。
文書管理システムによる管理
文書管理システムは、契約書だけでなくさまざまな書類を一元管理するためのシステムです。文書管理システムは、契約書の更新、有効期限の管理、自動通知機能など、多くの機能を提供しています。ひとつひとつ手作業で管理しなければいけないエクセル台帳に比べて、管理の手間が減ります。また、タイムスタンプ機能なども使いやすくなっており、法的な要件を守りやすくなります。大企業では、エクセル台帳での管理はほぼ不可能と言っても過言ではなく、文書管理システムを導入していることでしょう。しかし、導入費用や運用費用が高く、システムの設定や社員教育も必要です。
クラウド型の電子契約サービスによる管理
電子契約サービスを利用することで、契約書の作成、署名、保管を全てオンラインで完結できます。電子契約サービスは主にクラウドサービスとなっており、自社のサーバなどが必要なく、バックアップなどの管理もしやすいことから、導入しやすい点がメリットです。また、契約自体をweb上で行えるため、自社も取引先も手間の削減になります。文書管理システムと同じく、法的な要件も守りやすいシステムになっています。
複数の契約書を扱う企業やリモートワークを導入している企業にとって、電子契約サービスは非常に有効でしょう。一方、契約書管理に特化しているため、その他の書類の管理が難しくなることがあります。契約書以外の書類管理が多い企業にとっては、電子契約サービスのみの導入が効率的かどうか、慎重な検討が必要です。
契約書の管理は、書類保管サービスの「書庫番人」にお任せください!
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このように、書庫番人では「紙の書類の電子化(スキャナ保存)」と「電子データの書類を作成する電子化」の2つの方法で書類を管理できるような体制づくりのお手伝いができます。また、紙のまま管理したい書類があれば、専門倉庫でお預かりすることもできます。
どのような保管方法がよいのかお困りの際は、お客様の状況に合わせた最適なご提案ができますので、ぜひ書庫番人のお問い合わせフォームからご相談ください。