レシートや領収書の保管は、経理業務において重要な作業です。しかし、毎日のように発生するこれらの書類をどのように整理し、保管すればよいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。適切に保管しないと、必要なときに見つからなかったり、劣化して読めなくなったりすることがあります。この記事では、レシートの保管方法について、紙と電子の両方を詳しく説明します。法的な保管期間、効率的な管理方法、注意すべき点、役立つコツなど、関連する全ての情報を有効活用し、日々増えるレシートの問題を解決しましょう。
レシートの保管期限はどれくらい?
レシート、請求書、領収書などの書類は、基本的に7年間保管することが法律で定められています。レシートの保管期間は、国税庁に記載してある「帳簿書類の保存期間」の現金預金取引等関係書類の領収書が該当します。
しかし、基本的な保管期間は7年間ですが、法人の場合には繰越欠損金が10年間繰越可能となっているため、実務上の保管期間も10年間とするのが一般的です。欠損金の繰越控除とは、赤字になった分を次の事業年度に持ち越しできる節税の仕組みのことです。そのため、赤字の年度の保管期間は10年間とするのが一般的です。したがって、全ての帳簿書類やレシートは赤字の場合の年度に合わせて、10年間保管することをオススメします。レシートの保管期間を守ることで、税務調査や監査時の対応がスムーズになり、企業運営の信頼性も向上します。適切な保管を行って、法的なトラブルを未然に防いでいきましょう。
紙での保管
領収書やレシートはそれぞれが小さい書類ですが、時間が経つにつれどんどん多くなり、整理を怠ると後々探し出すのが大変です。適切な保管方法を取ることで、必要なときにすぐに見つけられるようにしましょう。
封筒にまとめておく
専用封筒を月別や費目別に用意し、レシートや領収書をそのたびに封筒に入れていく方法です。封筒に年月を記入し、該当する月のレシートを保管します。整理がしやすいよう大きめの封筒を使用し、レシートをダブルクリップやホッチキスでまとめると、わかりやすく便利です。
ファイリングして収納する
レシート保管に特化したファイルやクリアファイルを使い、レシートを月別や費目別に分けて保管する方法です。保管する際に、ファイルに見出しを付けると確認がしやすくなります。専用のファイルボックスにまとめて収納することもオススメです。
スクラップブック、専用のノート、コピー用紙に貼る
スクラップブック、専用のノート、コピー用紙にレシートを貼り付け、A4用紙などでとじて保管する方法です。コピー用紙を使用することで、ページの追加や差し替えが簡単になり、月ごとに分けてレシートを貼るとさらに整理しやすくなります。この方法のメリットは、ページをめくるだけで経費の流れを一覧できることです。また、テープのりを使えば乾燥するまで待つ必要がなく、効率的に作業が進みます。ただし、気がついたらなくなってしまうことがあるため、レシートが剥がれないように、貼ったら数秒上から押さえるなどをして、しっかりと貼り付けましょう。
紙での保管の注意点
レシートや領収書が増えてくると、従来の方法だけでは処理しきれなくなることがあります。そのような場合、分類の方法を工夫してみましょう。特に、会社の規模が大きくなると、単に月ごとに分けるだけでは対応が難しくなることが多いです。
以下のように分けると整理しやすくなります。
- 支払い手段別:現金、クレジットカード、振込など
- 部門別:営業部、経理部など
- 取引先別:主要な取引先ごとに分ける
会社の業態に応じて、最もわかりやすい分け方を選ぶとよいでしょう。
紙で保管するメリット
紙でレシートを保管する方法には多くのメリットがあります。
- 簡単で手間が少ない:特別な設備や技術が不要で、封筒、ノート、ファイルなどを使って簡単に保管できる
- 即座に確認できる:必要なレシートをすぐに確認することができ、ファイルやノートをめくるだけで内容を確認できる
- 取り扱いが簡単:特別なスキルや訓練が不要で、経理担当者以外の従業員も簡単に扱える
- 初期コストがかからない:高額な初期投資が不要で、ファイル、ノート、封筒などを用意するだけで済む
紙で保管するデメリット
一方で、紙で保管する方法にはいくつかのデメリットも存在します。
- 保管スペースが必要:大量のレシートや領収書を保管するための物理的なスペースが必要
- 劣化のリスク:紙は時間が経つと劣化しやすく、特に感熱紙のレシートは印字が消えやすい
- 検索や整理が手作業:必要なレシートを探す際に手作業で探さなければならず、時間と手間がかかる
- 紛失のリスク:紙のレシートは小さく、紛失しやすく、中でも管理が煩雑になると紛失のリスクが高まる
電子データで保管
紙のレシートや領収書を電子データとして保管する方法は、効率的でスペースを節約できるため、多くの企業で導入が進んでいます。次に、スキャナ保存の要件と手続きについて詳しく見ていきましょう。
スキャナ保存の要件と手続き
「スキャナ保存」は、紙のレシートや領収書をスキャナで読み取り、データとして保管する方法です。これは「電子帳簿保存法」に基づいており、レシートなどの帳簿書類にも条件が該当するため、以下の要件を満たす必要があります。
- 一定の解像度とカラーでの読み取り:200dpi以上、カラー画像で256階調以上の解像度でスキャンする
- タイムスタンプの付与:電子的なタイムスタンプを付与または訂正・削除の履歴が確認できるシステムを使用する
- 情報の保管:解像度やサイズ情報を保持し、バージョン管理を行う
- 入力者情報の確認:誰がスキャンしたかを記録する
- スキャン書類と帳簿の関連付け:データと帳簿の相互関連性を保持する
- 検索機能の確保:取引日や取引先などの情報で検索できる機能を備える
電子データで保管する注意点
レシートや領収書を電子データとして保管する場合、いくつかの注意点があります。
・電子データで受領したレシート
電子データで受領した場合、そのまま電子データとして保管することが義務付けられています。電子データから紙に印刷して保管することは認められていません。
・紙のレシートを電子化
スキャナ保存の要件を満たしていれば、紙で受領したレシートをスキャンし、電子データとして保管することは可能です。また、スキャナの代わりにスマートフォンで撮影することも認められています。近年では、撮影するだけで電子化できるアプリもあるため、簡単に電子データとして保管できるでしょう。
電子帳簿保存法の改正と対応
2022年の法改正により、電子帳簿保存法の要件が緩和され、電子データでの保管がより簡単になりました。以下の改正点が含まれています。
・事前承認の廃止
スキャナ保存や電子データ保管のための事前承認が不要になりました。以前は事前に税務署の承認が必要でしたが、2022年以降は承認が不要となり、導入が簡単になりました。
・検索要件の緩和
電子保存する際には、検索機能をつけることが必要ですが、その検索要件が緩和されました。
(検索緩和の項目の例)
- 改正前:取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目により検索できること
改正後:記録項目は取引年月日、取引金額、取引先に限定 - 日付、金額の記録項目は、その範囲を検索かつ2以上の任意の記録項目を組み合わせての検索または電磁的記録のダウンロードの求めに応じられるようにする
電子保管のメリット
電子データでの保管には多くのメリットがあります。
- 経理業務の効率化:書類の確認や承認がオンラインで可能になり、オフィスに出社しなくても経理業務を行える
- 保管スペースの節約:紙の書類の保管場所が不要になり、オフィススペースを有効活用できる
- 情報セキュリティの向上:電子データは劣化や紛失の心配がなく、タイムスタンプや改ざん防止機能によりセキュリティが向上し、データのバックアップも容易に行える
電子保管のデメリット
一方で、電子保管には以下のデメリットもあります。
- 初期コスト:スキャナや電子保管システムの導入には初期コストがかかる
- 教育コスト:新しいシステムや手順に慣れるための教育が必要
感熱紙レシートの対策
感熱紙レシート(サーマル紙)は、時間が経つと印字が消えてしまうことがあります。この問題に対処するためには、まず、レシートの余白に金額、購入日、購入品目を手書きで記入すると、印字が消えた場合でも情報を確認できます。もう1つの方法は電子データとして保管する方法も効果的です。スキャナやスマートフォンを使ってレシートをデジタル化し、画像データとして保存することで、オリジナルが劣化しても情報を保持できます。また、情報を電子保管システムや専用アプリでテキストとして入力して整理するとさらに便利です。これらの対策を実施することで、感熱紙レシートの印字が消えるリスクを軽減し、必要な情報を確実に保管できるでしょう。
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