建設業の書類を徹底解説!保存期間の理解が深まる完全ガイド

建設業における書類管理は、プロジェクトの成功と企業の信頼性の保持に不可欠です。しかし「どの書類をどのくらいの期間保存すればいいのか」や「書類管理を効率的に行うにはどうすればよいのか」などの疑問を抱えている方も多いでしょう。この記事では、建設業に必要な書類の種類とそれらの保存期間、さらには効率的な書類管理方法について徹底的に解説します。

建設業書類の保存期間

建設業界においては、契約書、工程表、安全検査記録といった多数の重要な書類がプロジェクトごとに生じます。これらの書類は、法律によってその保存が義務付けられており、工事の進捗、品質管理、安全基準の遵守など、事業の重要な側面を記録しています。したがって、書類の保存期間を適切に遵守することは、法的要件を満たすだけでなく業務の透明性と説明責任を保つためにも不可欠です。

建設業書類の保存期間一覧表

建設業法では、各種書類の保存期間を厳格に定めています。建設業界は、その工程の複雑さと多岐にわたるプロジェクトの性質から、数多くの書類が生成されます。しかし、これらの書類の保存期間は一様ではなく、種類によって異なるため管理は一層複雑になります。

以下の一覧表は、建設業の主要な書類とそれらの保存期間をまとめた一覧表です。

保存期間書類の種類
3年安全衛生委員会議事録
特別教育の記録
騒音測定記録
クレーン過負荷制限特例記録/デリック過負荷制限特例記録
クレーン点検記録/デリック点検記録/エレベーター点検記録
移動式クレーン点検記録/簡易リフト点検記録
建設用リフト点検記録
有機溶剤作業環境測定記録
有機溶剤作業環境測定結果の評価記録
鉛作業環境測定記録
鉛作業環境測定結果の評価記録
特定化学物質用局所排気装置/除じん装置/排ガス処理装置/廃液処理装置点検記録/特定化学設備またはその付属設備点検記録
特定化学物質作業環境測定記録
特定化学物質作業環境測定結果の評価記録
酸素欠乏危険作業場所環境測定記録
粉じん用局所排気装置および除じん装置点検記録
5年帳簿
帳簿の添付書類(契約書、下請負人に支払った下請代金の額、支払年月日および支払手段を証明する書類またはその写し、施工体制台帳)
健康診断個人票
有機溶剤健康診断個人票
鉛健康診断個人票
四アルキル鉛健康診断個人票
特定化学物質等健康診断個人票(特別管理物質は30年間)
放射性物質濃度測定記録
7年粉じん作業環境測定記録
粉じん作業環境測定結果の評価記録
10年営業に関する図書(工事内容に関する発注者との打ち合わせ記録、完成図、施工体系図)
15年設計図書(配置図、各階平面図、二面以上の立面図、二面以上の断面図、基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図、構造詳細図、構造計算書その他、工事監理報告書など)
30年特別管理物質製造
取扱作業記録
特定化学物質等健康診断個人票(特別管理物質のみ)
電離放射線健康診断個人票
保存義務なし衛生日誌・衛生管理者の職務上(巡視など)の記録
産業医の職務上(巡視など)の記録

▼設計図書に関しては、こちらの記事でも詳しく説明しています。

書類を保存していない場合は法令違反になることも

建設業法に違反した場合、企業は罰金やその他の法的制裁に直面する可能性があります。具体的には、国土交通大臣や都道府県知事が建設会社の書類を検査する権利を持っており、この際に保存期間内の重要書類が提出できない場合、法令違反とみなされ、厳しい罰則が適用されることがあります。

第四十条の三 建設企業は、国土交通省令で定めるところにより、その営業所ごとに、その営業に関する事項で国土交通省令で定めるものを記載した帳簿を備え、かつ、当該帳簿及びその営業に関する図書で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。

第五十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。(中略)第四十条の三の規定に違反して、帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿若しくは図書を保存しなかつた者

引用:e-Gov法令検索|建設業法

建設業における書類保存の重要性

建設業界では書類を所定の期間、保存することが重要です。これを守ることで多くのメリットが得られますが、守らない場合は予期せぬリスクに直面する可能性があります。書類の適切な管理は法令を遵守するだけでなく、企業の信頼を築く上でも欠かせない要素です。工事の進行や安全基準の遵守、品質管理といった業務において、書類はそれぞれ重要な役割を担っており、ここでの手抜きは、あとに大きな問題を引き起こす原因となりえるでしょう。

品質保証と信頼の構築

建設業における書類管理は、品質保証や信頼の構築において欠かせない役割を果たします。例えば、品質検査報告や工事完了証明書のような書類は、プロジェクトが定められた品質基準を満たしていることを裏付けます。品質を保証し、依頼人や市場からの信頼を築くことが、長期的なビジネスの競争力を支える源泉となります。建設業における書類の適切な保存期間の厳守は、その基盤を形成します。

法的遵守

建設業界では、建設業法や労働基準法などの厳格な法規制が運営の基盤となっており、これらの法律が書類保存の必要性を強調しています。企業が法的要件を遵守しているかどうかの証明として、これらの書類は重要になるでしょう。

リスク管理

建設業界では契約違反などのリスクが常に存在します。こうした状況の中で、契約書や工程表、安全検査記録などの書類が重要な役割を果たします。これらの書類は、トラブルが発生した際に迅速かつ公正な解決策を見つけるための根拠となります。書類が不足していると、企業は紛争時に不利な立場に置かれるリスクがあります。適切な書類管理は、このような紛争や問題の解決に不可欠であり結果として企業の安全を確保するために役立ちます。

労働災害の証明

建築現場での怪我や疾病は、時にはあとから症状が現れることがあります。そのため、従業員が過去に特定の現場で働いていたことを証明する書類は、労働災害の認定や補償請求の際に欠かせません。適切な書類管理が行われていない場合、企業は法的責任を問われるリスクが高まります。このような書類は、災害発生時の迅速な対応を支援し、従業員の安全と企業の責任を守るために重要です。

書類管理の実践的アプローチ

建設業界における書類管理は、法的義務を遵守するだけでなく、事業の効率化とリスク管理にも大きく影響しています。適切な書類の保存と管理は、プロジェクトのスムーズな運営に必要でしょう。

案件別・保存期間別の分類方法を考える

建設業界における書類管理の効率化を図る一つのアプローチとして、書類を案件ごとに分類し、日付順に整理する方法があります。このシステムを採用することで、必要な書類を迅速に特定し、問題が発生した際に素早く対応することが可能です。さらに、保存期間別に書類を分類することで、期限切れの書類を適時に廃棄することが容易になり、書類管理全体の効率を大幅に向上させることができます。

保存期間が過ぎても長期保存したほうがよい書類を把握する

建設業界では、法的に保存が義務付けられている注文書や請求書がありますが、これらは保存期間を超えたあとも重要性を持ち続けます。例えば、管理責任者の経験を証明する際、これらの書類は価値ある証拠となります。なぜなら、法定の保存期間が終了しても、建設業許可取得の際に過去の実績を示すのに役立つためです。

書類保管サービスを利用する

建設業界で扱う膨大な書類を効率的に管理するには、書類保管サービスの利用が大きな助けとなります。物理的な保存スペースを節約し、書類の安全な保存が可能になるだけでなく、必要な書類へのアクセスや廃棄作業も容易になります。

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この記事を書いた人

書庫番人コラム編集犬

書庫番人コラム編集犬

書類管理・機密文書廃棄などのオススメ方法を中心に皆様のお役立ちコラムを執筆している犬です。コラムを読んでも分からなかったことはお気軽に書庫番人のお問い合わせフォームからお問い合わせください。