もう経理書類で悩まない保管方法

経理業務は、どの企業にも欠かせない重要な役割です。経理部門が作成する文書の多くは、法的規定に従って一定期間保存する必要があります。しかし、日々増え続ける文書を効果的に整理し、保管することは容易ではありません。今回は、経理業務で生成される書類のおすすめの保管方法についてご紹介いたします。

経理書類の種類

経理業務では、他部署や取引先からの要請に応じて請求書や領収書を始め、会社の経営判断に重要な決算資料などお金に関連するさまざまな書類を作成し発行します。なかでも証憑書類と帳票は、経理業務において非常に重要な役割を果たします。以下「財務諸表(計算書類)」、「証憑書類」と「帳票」について説明していきます。

財務諸表

「財務諸表」は、企業のお金の流れを記載する書類です。企業や組織の経済的健全性と業績をステークホルダー(株主、投資家、債権者、監督機関など)に報告するために使用されます。また一般に公開され、会社の財務状況と業績を透明にするために利用されます。以下に主要な財務諸表の種類をまとめてみました。

  • 貸借対照表:ある特定の日付における企業または組織の資産、負債、純資産を示すものです。
  • 損益計算書:損益計算書は、特定の期間(通常は会計年度)における企業の収益と費用を示し、純利益または損失を計算します。
  • キャッシュフロー計算書:キャッシュフロー計算書は、特定の期間における現金の流れを示します。主に現金の入金と出金を追跡します。

証憑書類

「証憑書類」は、何らかの取引や契約が行われたことの証明をするための書類です。事実を証明し、取引の詳細や条件を文書化するという役割を果たします。社外との取引だけでなく、社内での取引や給与支払いなどの内部取引にも関連することがあります。証憑書類が存在することで、口頭での約束や合意だけでなく、書面による正式な取引が行われたことを示すことができます。正確性と真実性が高く、法的要件を満たすために非常に重要な書類のため、法律により証憑書類の保管が定められている書類です。どのようなものが証憑書類に当たるのでしょうか。カテゴリーに分けて具体例を紹介します。

売上に関する証憑

  • 契約書:取引の内容を証明する書類
  • 請求書:商品やサービスの代金の支払いを求める書類
  • 領収書:代金の支払いが行われたことを証明する書類

仕入れに関する証憑

  • 発注書:商品やサービスを注文した事実を証明する書類
  • 納品書:注文した商品・サービスを受け取ったことを証明する書類

雇用や給与に関する証憑

  • 雇用契約書:雇用主と従業員の間で交わされる契約書
  • 給与支払明細書:従業員に支払った給与額を証明する書類
  • タイムカードや出勤簿:勤務日数や勤務時間を証明する書類

その他の証憑

上記3つの分類以外でも、企業経営に関わる書類は証憑になります。例えば、銀行口座の通帳や事業所の賃貸借契約書、銀行から融資を受けている場合には、返済予定表も重要な文書です。契約条件の変更や税務調査などで必要になることがあるため、書類を種類別に整理し、迅速にアクセスできるように管理しておくことが大切です。

帳票

「帳票」は、企業の経営活動におけるさまざまな記録文書や書類の総称で、企業や組織の財務状況や業績を要約し、報告するために使用されます。「帳票」グループの中に帳簿や伝票などが含まれています。

帳簿

帳簿は、企業の経済活動に関する詳細な記録を保持する文書です。企業の経済取引の永続的な記録を提供し、財務データの収集、整理、要約に使用されます。以下に主要な種類をまとめてみました。

  • 仕訳日記帳:すべての会計取引を一時的に記録します。
  • 総勘定元帳:すべての会計取引を詳細に記録します。
  • 現金出納帳:企業や組織が支払った現金取引を記録します。
  • 預金出納帳:銀行や金融機関に現金や小切手、預金証書などを預け入れるために使用します。
  • 買掛帳:組織が供給業者やベンダーに対して支払うべき未払いの金額を追跡および管理するために使用します。
  • 売掛帳:組織が顧客から受け取るべき未収金を記録し、管理するために使用します。

伝票

「伝票」は、取引が発生した際にその詳細情報を記録する文書です。取引の正確な記録を提供し、財務情報の整合性を確保します。以下に主要な種類をまとめてみました。

  • 売上伝票:販売取引に関連する情報を記録します。
  • 仕入伝票:仕入取引に関連する情報を記録します。
  • 入金伝票:企業に現金が直接入ってくる取引を記録します。
  • 出金伝票:企業から現金を直接支出する取引を記録します。
  • 経費精算伝票:経費の申請や精算に関連する情報を記録します。
  • 振替伝票:資金や資産の移動を記録し、取引を追跡するために使用します。

経理書類の保管期間

経理が取り扱う書類の保管期間は、税法や会社法、社会保険法、労働基準法などに基づき、法律によって保管期間が明確に規定されています。規定期間の間しっかり保管しておかなければ法律違反となり、罰則が科せられたり、社会的な信用を失ったりなどの大きな不利益が生じる可能性があります。そのような事態を避けるためにも、保管期間を把握しておきましょう。

▼保管期間の一覧について詳しくはこちら

経理書類の保管方法

紙での保管方法

紙で発行された書類は、紙のまま保存することができます。経理書類を紙で保管するには、運用しやすいように分類し、ファイリングする必要があります。また保管する書類を保管期間ごとにファイリングすると、書類の保管期間が過ぎたあとの廃棄の手間の削減にもつながります。

経理書類のファイリング方法

永久保管する書類

永久保管が必要な書類をファイリングする際は、穴を開けずポケットリフィルなどを使用し大切な書類に傷がつかないようにしましょう。保管容器やファイルに書類の内容や保存日などの情報、「設立関係」「届出関係」「議事録関係」など分かりやすいようにラベルを付けることで、必要な書類を迅速に特定できます。また書類へのアクセスを制限し、認可されたユーザーしか書類にアクセスできないようにし、セキュリティとプライバシーを守ることも大切です。

会社の経理に関係する書類

決算書類は決算日を基準に年度ごとにファイルを作りラベルを付け、そのファイルの中で書類の種類ごとに分類しましょう。書類が多い場合は書類の種類ごとにファイルを作るとよいでしょう。取引先との請求書・領収書・振込伝票は「月別」or「取引先別」にファイリングし、その他領収書(レシート、手書きの領収書など)は日付ごとにコピー用紙などに貼り付け、月ごとにポケットリフィルなどで保管しましょう。

給与関係書類

給与関係書類を保管するには、まずファイル保管のスペースを在職中の社員、退職した社員に分類しましょう。そうすることによって廃棄の際は退職した社員のもののみ抜き取り廃棄できます。社員数が多い場合は社員ごとにファイリングし、社員が少ない場合は書類の種類ごとにファイリングしましょう。また給与関係書類は個人情報のためアクセス制御を行い、誰にでもアクセスが出来ないよう保管する必要があります。また、地震や火事などの災害対策も取っておくとよいでしょう。社内で管理するのに手が回らない場合は外部保管サービスを利用するのもオススメです。

電子データによる保管

電子データによる保存は、紙を使用せずに情報を記録する方法で、電子会計ソフトウェアの利用などにより電子データとして書類を保管する手法です。電帳法改正により、電子データとして取引した書類は電子データでの保存が必須になりました。データの改ざんを防ぐ適切なセキュリティ対策をしっかりと行い、保存したデータを効率的に検索できる体制を整えたりする必要があります。

▼国税庁のWebサイトをご覧ください

経理書類の廃棄

経理書類や財務データの廃棄に際しては、機密情報を保護し、法的要件を遵守することが不可欠です。また、データの廃棄方法は法律や規制に適合するように定期的に見直すことも大切です。一般的な廃棄方法をご紹介します。

自社で処理する

自社内で一枚一枚シュレッダーなどにかけて処理していく方法です。この作業は人が付きっきりでホチキスの芯などを分別しながら紙をシュレッダーにかけていく時間と手間が必要になるほか、ゴミが大量に発生してしまいます。その反面、かかる費用はゴミ袋代やシュレッダーの電気代など少ない費用で済みます。

機密文書廃棄サービスを利用する

機密文書廃棄の専門サービスに依頼する方法です。一般のごみ処理施設などとは違い、機密文書廃棄の専門サービスは機密文書が漏えいしないよう、セキュリティの整った施設で処理を行っています。機密文書を段ボールにまとめて預けるシステムのサービスのほか、会社ごとに回収ボックスを設置しておき定期的に回収に訪れるサービスもあります。処分する機密文書の量が多いのであれば、機密文書廃棄サービスを利用するべきと言えるでしょう。

機密文書の量が少ないのであれば自社で処理し、多いのであれば機密文書廃棄サービスの利用など使い分けるとよいでしょう。
また環境に配慮しながら、可能な限り紙をリサイクルする溶解処理の機密文書処理サービスを利用するのもよいでしょう。溶解処理だと情報漏えいの危険性が少なく費用も安いためオススメです。

経理書類の保管に困っているなら書類保管サービスの書庫番人

経理書類の種類や保管期間、保管方法は、経理業務を遂行する上で欠かせない情報です。経理書類は企業や組織の財務健全性や法的コンプライアンスに関わる要素であるため適切な管理が必要です。また、電子データの普及に伴い、経理書類の取り扱いはますます複雑化しています。セキュリティ対策を強化し、適切な保管を心がけましょう。

社内での管理が大変だと思ったら、外部保管を利用してみるとよいでしょう。書類保管サービスの「書庫番人」ならセキュリティ管理はもちろん、湿度対策や災害対策も万全です。少しでも不安がある場合は、見学をしていただくことも可能です。機密文書の廃棄対応も可能ですので、預けた書類の保管期間が過ぎた時はそのまま廃棄処理が可能です。機密文書廃棄では、お預かりした書類は段ボールごと溶解処理されるので、処理作業員にも書類の中身が明らかになることはありません。まずはお気軽にお問い合わせからご相談いただければ、適切な保管方法をご案内いたします。

この記事を書いた人

書庫番人コラム編集犬

書庫番人コラム編集犬

書類管理・機密文書廃棄などのオススメ方法を中心に皆様のお役立ちコラムを執筆している犬です。コラムを読んでも分からなかったことはお気軽に書庫番人のお問い合わせフォームからお問い合わせください。