請求書控えの保存義務解説【インボイス対応】

「請求書には保存義務があるのを知っているけど、請求書控えにも保存義務ってあるの?」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。この記事では、請求書控えの発行・保存義務・保存方法についてわかりやすく解説していきます。

そもそも請求書控えとは?

請求書控えとは、請求書を発行する際に、請求書の原本のコピーとして写し取っておく書類のことです。請求書の原本は請求される側に渡すため、請求する側には請求書控えが手元に残ることになります。

請求書控えには現状法的な作成義務はありませんが、取引をした証拠として作成しているケースが多いようです。請求書のみを作成し、請求書控えを作成しない場合、請求する側には請求した記録がなにも残らないことになります。もし請求された側から「金額が違う」などと言われた際に、請求書控えと照らし合わせて確認できるようにするために、請求書控えは作成しておいた方が無難と言えるでしょう。

請求書控えの保存義務・保存期間

前述の通り請求書控えに作成義務はありませんが、請求書控えを作成した場合には、請求書と同じく「取引証憑書類」として保存義務が生じます

請求書・請求書控えの保存期間:7年間(欠損金額がある年度は10年間)

起算日(保存期間の数えはじめの日):事業年度の確定申告書の提出期限の翌日

「事業年度の確定申告書の提出期限の翌日」というのは、3月末決算の企業であれば確定申告書の提出期限は5月31日であるため、その翌日である6月1日のことになります。3月末決算であれば、3月末までに発生した請求書控えは、その次の6月1日から7年間(もしくは10年間)保存する義務が生じます。起算日を間違えて覚えてしまい、保存期間より前に廃棄してしまわないように気をつけましょう。

また、請求書控えは作成しなければ保存や管理の手間はかかりませんが、これからはじまるインボイス制度により、作成の義務が生じるケースがあります。

インボイス制度における請求書控えの作成・保存義務

2023年10月から導入されるインボイス制度では、買主が仕入税額控除を受けるために「適格請求書発行事業者」による「適格請求書(インボイス)」の作成が義務化されます。適格請求書発行事業者には請求書(インボイス)だけでなく、請求書控えの作成・保存も義務化されます。税抜き売上高が1,000万円を超える課税事業者は、適格請求書発行事業者に登録する必要があり、多くの企業に請求書控えの作成・保存が義務化されると思ってよいでしょう。そのため、現在請求書控えを作成していない企業も、今のうちに請求書控えを作成するフローにしておくことをオススメします。

請求書控えの保存方法

請求書控えは経理書類です。経理業務に携わる従業員など、特定の人間以外の目にはつかない場所に保存すべきだと言えます。前年度以前の請求書控えを使用することはほぼないため、まとめて書類棚の奥に保存しておいても問題ありませんが、今年度中の新しい請求書控えについては、保存に工夫が必要です。

請求書控えは、請求書の入金状況に合わせて保存することで管理しやすくなります。作成した請求書控えは「入金待ちの請求書控え」「入金済みの請求書控え」「支払い期限超過の請求書控え」の3つに分けて保存するとよいでしょう。

基本的な請求書控えの管理方法

  1. まず請求書と請求書控えを作成し、請求書を送付したあとは「入金待ちの請求書控え」の保存場所に請求書控えをしまいます。
  2. そのあと、入金が確認できたら「入金済みの請求書控え」の保存場所に請求書控えを移し替えます。その際、押印やメモなどで入金済みとわかるようにしておくと、よりわかりやすくなります。
  3. もし支払い期限が過ぎても入金がなかった場合、「支払い期限超過の請求書控え」の保存場所へ請求書控えを移し替え、請求先に連絡をします。その後入金が確認できたら2の手順と同じく、「入金済みの請求書控え」の保存場所へと移し替えます。

請求書・請求書控えは、事業年度の経理業務がまとめ終わったあと、同じ事業年度の経理書類とまとめて保存しましょう。請求書・請求書控えの保存期間は7年間ですが、赤字の事業年度は10年間保存となります。経理書類には10年間保存の書類も多いため、まとめて10年間保存としておくことをオススメします。そうすることで、廃棄の際に経理書類を事業年度ごとにまとめて廃棄できるため、管理の手間を省くことができます。

請求書控えの保存に困っているなら

支払いも確定申告等も完了した事業年度の請求書控えは使用することがまずない書類です。保存場所に困っている方も多いのではないでしょうか。

そういった場合には、書類保管サービスに預けることをオススメします。書類保管サービスとは、セキュリティ管理された書類専門の倉庫に書類を預けられるサービスのことです。社内の保存スペースがスッキリするだけでなく、セキュリティも担保されているため安心です。

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この記事を書いた人

書庫番人コラム編集犬

書庫番人コラム編集犬

書類管理・機密文書廃棄などのオススメ方法を中心に皆様のお役立ちコラムを執筆している犬です。コラムを読んでも分からなかったことはお気軽に書庫番人のお問い合わせフォームからお問い合わせください。