領収書の保管方法〜ファイリングから電子保管まで〜

領収書の保管方法をどうしていますか? ノートに貼る? そのまま綴じる? 紙の領収書の運用しやすい保管方法はもちろん、領収書を電子保管する際の保管方法まで、まるごとご説明します。

そもそも領収書とは?

領収書には法律で定められた保管義務があり、保管期間の内は保管しておく必要があります。

まずは「領収書」とはどのようなものを指すのかを改めておさらいしておきましょう。「領収書」と言われると店頭でカーボン紙に書かれる手書きの領収書をイメージする方が多いのではないでしょうか。そういった領収書以外にも、レジで印刷されるレシートも、法律上は同じく「領収書」として扱われます。「領収証」「受領書」「お買い上げ票」「代済」「相済」「了」と書かれたものもすべて領収書に当たるため、保管し忘れのないよう気を付けましょう。

領収書の保管期間

領収書を保管するために保管期間も把握しておきましょう。法律上の領収書の保管期間は以下になります。

保管期間7年間
※欠損金のある事業年度は10年間

起算日:確定申告の提出期限(事業年度の最終日から2ヶ月後)の翌日

領収書の保管期間は7年間となっていますが、欠損金のある事業年度(赤字の事業年度)がある場合は10年間保管しなければなりません。決算書や総勘定元帳など他の経理書類の保管期間も10年間であることから、経理書類はまとめて10年間保管しておくと管理の負担が少なくなるでしょう。そうすることで、廃棄の際にも同じ事業年度の経理書類をまとめて廃棄することができ、手間が省けます。

また、保管期間の起算日(数えはじめの日)には注意が必要です。「確定申告の提出期限(事業年度の最終日から2ヶ月後)の翌日」となります。会社の決算が3月末なら、6月1日から数えはじめることとなります。起算日を領収書の発行日と勘違いして保管しているケースも多く見られるため、改めて確認しておきましょう。

なお、領収書を正しく保管できていなかったことが税務調査などで発覚した場合、追徴課税として追加の税金を支払わなければいけない可能性があります。そのようなことがないよう、領収書は取り出しやすいように整理して保管しなければいけません。

紙の領収書の保管方法

まずは紙の領収書についての保管方法から解説していきます。領収書は毎日のように発生する書類である上に、大きさもバラバラで紛失しやすいため、日々の整理が必要になります。管理しやすい保管法をいくつかご紹介しますので、業務体系に合った保管方法を見直してみてはいかがでしょうか。

封筒などに領収書をまとめる方法

領収書を月ごとや目的ごとに合わせて封筒などにまとめる方法です。紛失の可能性は高めですが、封筒などに領収書を入れるだけでよいため、管理の手間は少なく済みます。ステープラ(ホチキス)などで領収書を止めてから封筒などにしまう工夫をすることで、紛失の可能性を減らせるかもしれません。

領収書をノートに貼り付ける方法

領収書の保管専用のノートを作成し、領収書をのり付けしていく方法です。

1日1ページ、1月1冊などに分けて領収書を貼り付けておくとよりわかりやすくなります。ノートに貼り付ける場合、メモなども書き込めるというメリットもあります。

なお、領収書を貼り付けるノートはどんなものでも法律上問題ありません。分厚い雑誌などを台紙にしている会社もありますが、視認性を考えて白紙のノートに貼り付けることをオススメします。

領収書をファイリングする

ルーズリーフに貼り付けたり、クリアリフィルなどに入れたりしてからファイルに綴じて保管する方法です。一度領収書を綴じてから「忘れていた領収書が出てきた!」という事態が起こった際も、ファイルなら綴じかえられるため、ノートに貼り付ける方法よりも便利です。近年では領収書保管に特化したファイルも販売しているため、それらを利用するのもよいでしょう。

ただし、PP製のクリアリフィルなどは廃棄の際に分別する手間がかかってしまうことがあります。機密文書廃棄サービスなどでは、一般的に禁忌品(リサイクルに適さない異物)として扱われ、あらかじめ取り除く作業が必要になります。廃棄方法や環境のことも考慮して、ファイリング方法を検討しましょう。

なお、領収書を保管する際には注意すべき点も多くあります。

レシートには感熱紙のものもあり、温度や湿度、日当たりなどの環境がよくない場合、文字が消えてしまう可能性があります。感熱紙ではない紙でも、温度や湿度、日光は劣化の原因になるため、避けて保管しておくようにしましょう。

もしよりよい保管環境で領収書を保管したいと考えている場合には、書類保管サービスなどの利用をオススメします。

また、領収書の保管場所に悩んでいるのなら電子保管するという手もあります。現在ではデジタルカメラなどで撮影したデータの保管も認められているため、一昔前より電子保管のハードルは下がっています。

電子化した領収書の保管方法

領収書などの帳簿書類は紙での保管が原則とされています。しかし、電子帳簿保存法の規程に沿って電子化することも認められています。

ここでは、領収書の電子化について「紙の領収書を電子化する方法」「電子データの領収書を電子保存する方法」の2通りに分けて解説していきます。

紙の領収書を電子化する方法

紙で受領した領収書は、電子帳簿保存法に従って電子化できます。電子帳簿保存法は、書類を電子化して保管する際に守らなければいけない法律です。電子帳簿保存法では、国税関係書類(領収書を含む決算書類や取引書類など)を、スキャナなどでスキャンして保管することが認められています。デジタルカメラやスマートフォンで撮影したデータの保管も可能であり、専用のアプリなどを使用して電子保管している会社も増えてきました。

スキャンや撮影した電子データの書類は、「真実性の確保」と「可視性の確保」が必要になります。タイムスタンプの付与や、200dpi以上の解像度での読み取りなど、いくつかの条件を満たさなければなりません。

▼領収書のスキャナ保存に必要な条件

  • 入力期間の制限
  • 200dpi以上の解像度による読み取り
  • カラー画像による読み取り
  • タイムスタンプの付与
  • 解像度と階調情報の保存
  • 大きさ情報の保存(受領者の場合、A4以下の書類であれば不要)
  • バージョン管理(訂正、削除の確認ができるもの)
  • スキャン文章と帳簿の相互関連性
  • 14インチ以上のカラーディスプレイの備え付け
  • 明瞭な出力が可能な環境
  • 電子計算機処理システムの開発関係書類の備え付け
  • 検索機能の確保

詳しい要件は国税庁のホームページにも記載されているため、領収書を電子保管するのであれば、一度目を通しておくことをオススメします。

なお、領収書を電子化したからといってすぐに紙の領収書を廃棄してはいけません。定期検査まではしっかりと保管しておく必要があることを覚えておきましょう。

電子データの領収書を電子保存する方法

近年では電子データで領収書をやりとりすることも増えたのではないでしょうか。電子データの領収書も、前述の電子帳簿保存法に従って保管する必要があります。

電子帳簿保存法では、電子上で作成・やりとりした領収書も、スキャナ保存した領収書と同じく、「真実性の確保」と「可視性の確保」を満たさなければいけません。

また、電子帳簿保存法の改正により、令和4年1月1日以降に電子上で作成され電子上でやりとりした書類は、紙に印刷しての保管ができなくなりました。そのため、普段領収書を紙で保管している場合にも、電子上でやりとりした領収書だけは電子保管する必要があります。

詳しく知りたい場合は、電子帳簿保存法改正について確認しておきましょう→電子帳簿保存法が改正されました

なお近年では電子レシートの普及も進んでいます。電子レシートとは、レシートを電子データで配布するサービスのことです。店舗などでの会計時にレシートをスマートフォンで受信できるなどの処理を行っており、領収書の電子保管を進めている場合には便利なサービスです。電子レシートとして受け取ったレシート(領収書)も、電子帳簿保存法に従って保管しましょう。

かさばる領収書の保管方法オススメ

大量の領収書や、電子化した領収書の原本(紙)の保管場所に困っているなら、書類保管サービスの利用をオススメします。書庫番人の書類保管サービスに預けておけば、オフィスがスッキリするだけでなく、預けた書類をそのまま廃棄できるため、領収書の管理の手間を省くことができます。決められた保管期間が過ぎた際には通知されるため、無駄な保管料もかかりません。電子化のご相談にも対応できますので、書類保管に悩んでいる方はお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

書庫番人コラム編集犬

書庫番人コラム編集犬

書類管理・機密文書廃棄などのオススメ方法を中心に皆様のお役立ちコラムを執筆している犬です。コラムを読んでも分からなかったことはお気軽に書庫番人のお問い合わせフォームからお問い合わせください。