財務諸表の保管期間と保管方法

財務諸表は、企業の経済的な健全性を理解し、財政状況を把握するための貴重なツールです。しかし財務諸表はどのような書類を指すのか、またいつ保管すべきなのかについて不明確な人も多いです。この記事では、財務諸表に含まれる書類、適切な保管期間、そして効果的な保管方法についてご紹介します。

財務諸表とは

財務諸表は、企業や組織の財務健全性と業績を示すための文書です。一般的に、財務諸表は主に以下の3つの部分から構成されます。

貸借対照表(バランスシート)

貸借対照表は、特定の時点での企業の財務状態を示します。通常、会社の資産や負債、および所有者の資本(または株主資本)を示します。資産は企業が所有するもので、現金、建物、在庫、債権などが含まれます。負債は企業が支払わなければならないもので、借金、未払いの請求書、給与の支払いなどが含まれます。所有者の資本は企業の純資産で、株主に対する利益と損失が反映されます。

損益計算書(インカムステートメント)

損益計算書は、特定の期間(通常は1年または四半期)における企業の収益と費用を示します。収益は売上高、サービス収益、利息などの収益を含みます。費用には経費、賃金、広告費用、利息支払いなどが含まれます。損益計算書は、その期間内に企業が利益を上げたか損失を出したかを示します。

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書は、特定の期間における現金の出入りを示します。三つの主要な部分から成り立っており、運用活動、投資活動、財務活動に関する現金の流れを記録します。キャッシュフロー計算書は、企業が現金をどのように生成し、どのように使用しているかを示し、財務の健全性を判断するのに役立ちます。

これらの財務諸表を組み合わせて分析することにより、企業の財務状態、業績、およびキャッシュフローに関する洞察を得ることができます。これらの情報は株主、投資家、銀行、監査機関、および経営陣にとって重要で、企業の経営戦略や意思決定に影響を与えます。

財務諸表の保管期間

★財務諸表の保管期間:10年間

財務諸表は保管期間が定められており、保管期間の間は保管しておかなければなりません。財務諸表の保管期間は税法上では7年ですが、会社法では10年保管と定められています。より長期の期間を優先し、10年間保管が必要です。(なお、税法では7年間の保管期間が定められていますが、欠損金の繰越控除を受ける事業年度は10年間保管することとされています)
また税務調査が入った時には必要となることが多い書類です。不備があると過少申告加算税や重加算税というペナルティが課せられる可能性があるため、しっかりと保管しましょう。

財務諸表の保管方法

帳簿書類は紙による保管が原則とされています。電子データを使用して財務書類を保管することは可能ですが、法的に規定された条件を遵守する必要があります。財務諸表を保管する方法は、紙の場合と電子の場合で異なります。それぞれの保管方法におけるポイントをまとめました。

紙の財務諸表の保管方法

紙の財務諸表を保管する場合の注意すべき方法とポイントです。

・事業年度ごとの整理

各事業年度に関連する財務諸表と書類を一つのファイルにまとめましょう。例えば、収支計算書、税務書類などを一緒に保管します。

・ファイリングケースまたはフォルダの使用

ファイリングケースやフォルダを使用して財務諸表と書類を保護し、整理します。これにより、書類の損傷や紛失を防ぎ、スペースを効率的に利用できます。

・廃棄の際にファイルごと処分

財務諸表を各書類ごとにファイリングして保管することで、廃棄時に特定のファイルをまとめて廃棄でき、手間を節約できます。

これらのポイントに注意することで、紙の財務諸表を適切に整理、保護し、廃棄することができます。また、法的要件に従うことも大切です。

データの財務諸表の保管方法


データの財務諸表を保管する際には、電子帳簿保存法に基づき、電子データを保管する必要があります。もし電子データが不正に変更されたり隠蔽された場合に、そのような不正行為が発覚すると、申告漏れなどの金額に対して10%の追加課税が行われます。電子データで財務諸表を保管する場合には、不備などがないよう入念な環境整備をしておきましょう。

【データで作成した財務諸表の保管方法】

パソコンで作成したデータの保管方法として、電磁的記録があります。これは、DVDやハードディスクなどのメディアだけでなく、クラウドサービスを使用してサーバーにデータを保管することも含まれ、税法上保存が必要な帳簿・書類をパソコン等で作成した場合は、プリントアウトせずにデータのまま保存することができます。
詳しくは国税庁ホームページ「電子帳簿保存法」をご確認ください。

【紙の財務諸表をスキャンした場合の保管方法】

紙の書類をスキャンやスマートフォンで撮影し、それを電子データに変換して電子文書として保管する方法も認められています。ただし、スキャナでの保存は電子データに変換する際の改ざんを防止する観点よりシステム要件が定められています。

・適切なスキャナーの使用

スキャンする前に、高品質なスキャナーを使用し、書類を鮮明にスキャンしましょう。スキャナーの解像度と設定を確認して、高品質な画像を生成します。

・電子帳簿保存法の条件を守る

電子帳簿保存法は、作成した帳簿や決算書類、取引先との書類をデータで保管するための法律です。スキャンした決算書類にタイムスタンプなどの処理を施すなど、決められた保管方法に基づいてしっかりと保管していく必要があります。具体的な法的要件については、国税庁のホームページに詳細が記載されています。

・適切なフォーマットの選択とセキュリティの確保をする

スキャンしたデータは適切なフォーマット(一般的にはPDF)で保管しましょう。また、データのセキュリティを確保し、アクセス制御を実施して情報を保護します。

・原本を保管する

電子化した財務諸表の原本は、定期検査まで保管しておく必要があります。電子データはバックアップを取り、データ損失から保護するためのセキュリティプロトコルを設けましょう。

・バックアップの取得をする

スキャンしたデータを定期的にバックアップし、データの安全性を確保しましょう。バックアップはデータ喪失のリスクを軽減します。

もっと詳しく知りたい方は国税庁のホームページ「スキャナ保存」をご確認ください。

長期的な書類の保管・処分なら「書庫番人」がオススメ

財務諸表に限らず、会社で発生するさまざまな書類の保管は複雑なものです。「書類をどう保管していいのかわからない」「何年保管すればいいんだろう」「電子化ってどうやるの?」とお悩みの方は多いと思います。
社内で書類の管理するための時間や人的コストが割けない場合は書類保管サービスを使うのもオススメです。
書庫番人は一般的な書類保管サービスとは異なり、ただ書類を預かるだけのサービスではありません。お困りごとの相談や、管理方法のご提案もできるため、書類の管理がわからない方には特にオススメです。

お客様の書類管理の手間を減らすためにご協力しますので、是非お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

書庫番人コラム編集犬

書庫番人コラム編集犬

書類管理・機密文書廃棄などのオススメ方法を中心に皆様のお役立ちコラムを執筆している犬です。コラムを読んでも分からなかったことはお気軽に書庫番人のお問い合わせフォームからお問い合わせください。