賃金台帳の保管期間は5年です。源泉徴収簿を兼ねている場合は7年となります。この記事では、その保管期間の根拠となる法律から、保管期間の数えはじめの日、また保管方法について詳しく解説しています。
賃金台帳とは
賃金台帳は法定三帳簿の1つであり、作成と保管の義務があります。社員・アルバイトを問わず従業員を雇用した場合には、必ず法定三帳簿を揃えなければいけません。
賃金台帳には、従業員の名前・性別などのほか、労働日数や給与の支払いを記載します。各事業所ごとに備え付ける必要がある点に注意が必要です。
法定三帳簿
- 賃金台帳
- 労働者名簿
- 出勤簿
第百八条 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
(記録の保存)
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。
労働基準法|e-Gov法令検索
賃金台帳の保管期間
労働基準法にて定められている通り、賃金台帳には保管義務があり、5年間の保管が必要です。
なお、書類の管理を楽にするために、「源泉徴収簿を兼ねた賃金台帳」を作成している企業も多く見られます。その場合には、源泉徴収簿のほうが保管期間が長いため、源泉徴収簿の保管期間に合わせて7年間保管する必要があります。
保管期間 | 起算日(数えはじめの日) | |
---|---|---|
賃金台帳 | 5年間 | 最後に書き入れた日 |
源泉徴収簿を兼ねた賃金台帳 | 7年間 | 申告書等の提出期限の年の翌年1月10日の翌日 |
賃金台帳の保管期間を守って保管する方法
賃金台帳は、事業年度ごとに保管することをオススメします。事業年度ごとに保管すると、書類を確認する際にも廃棄する際にも便利です。
賃金台帳は従業員から給与明細の再発行を求められた際などに使用します。人事や経理など特定の社員だけしか閲覧できないようにするために、社内で鍵付きの書類棚などに保管するのがよいでしょう。従業員が多いうえに社内の書類保管スペースが足りない場合などは、古い賃金台帳を書類保管サービスなどの外部に保管し、使用する際だけ取り寄せている企業もあります。
賃金台帳の電子化
なお、賃金台帳は電子化して、データとして保管することも可能です。電子データとして賃金台帳を作成して保管することも、紙の賃金台帳をスキャンして保管することもできます。賃金台帳はe-文書法の対象範囲に含まれるため、e-文書法の要件に従い保管しましょう。
なお、帳簿類の電子化について定めている「電子帳簿保存法」に賃金台帳が含まれているのかは解釈が分かれます。条文や国交省のホームページなどには電子帳簿保存法の対象範囲に「賃金台帳」というワードは見られないためです。そのため、一般的には電子帳簿保存法の対象ではないという見方をされることが多いようです。
ただし、源泉徴収簿は電子帳簿保存法の対象範囲に含まれるため、源泉徴収簿を兼ねた賃金台帳を作成している場合は、電子帳簿保存法に従い保管しましょう。
賃金台帳の保管期間を守らなかったら?
賃金台帳の保管期間を守れていないことが発覚した場合には、罰則があります。30万円以下の罰金が科せられますので、しっかりと保管しておきたいところです。
労働基準法第百二十条、第百二十一条に定められています。
まとめ
- 賃金台帳には作成義務と保管義務がある
- 賃金台帳の保管期間は基本5年間(最後に書き入れた日から)
- 源泉徴収簿を兼ねた賃金台帳の保管期間は7年間(申告書等の提出期限の年の翌年1月10日の翌日から)
- 電子化も可能
- 保管期間を守らなかった場合30万円以下の罰金
賃金台帳はどの企業も必ず作成している書類であり、保管方法に悩んでいる方も多いのではないかと思います。また、賃金台帳は従業員の機密情報になり得る書類のため、保管場所にも気を付けなければなりません。鍵付きの書類棚や書庫を用意するのには、コストがかかり、社内のスペースも圧迫されがちです。
そういった場合には、書類保管サービスの利用がオススメです。書類保管サービスはセキュリティ対策のされた専門倉庫に書類を預けるサービスです。簡単に書類のセキュリティ対策ができるだけでなく、社内のスペースを有効利用できるようになります。書類が必要になった際には、集配送も可能です。
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