企業活動を続けるなかで、個人情報が記載された書類は日々増え続けます。履歴書、給与明細、顧客名簿、契約書など、社外に出てはならない情報を含む書類は、処分の方法を誤ると情報漏洩や法令違反につながり、企業の信用を大きく損ないかねません。とはいえ、「どの書類を残し、どう捨てればよいのか」と判断に迷う担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、個人情報書類をそのまま処分する危険性、処分前の仕分け、社内と外部それぞれの処分方法、信頼できる委託先の選び方をわかりやすく解説します。

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個人情報が記載された書類をそのまま処分するとどうなる?
業務で扱う書類に含まれる個人情報の例
日々の業務で扱う書類には、社外に出てはならない個人情報が数多く含まれています。部署によって扱う書類の種類は異なりますが、いずれも慎重な管理が求められます。代表的なものは次の通りです。
- 履歴書・給与明細・社会保険関係:従業員の氏名・住所・マイナンバー
- 顧客名簿・申込書・アンケート:取引先や顧客の連絡先・属性
- 請求書・領収書・契約書:取引内容・口座情報
- カルテや会員情報など事業特有の書類:機微な個人データ
一枚ずつでは断片的でも、社内に蓄積された書類を組み合わせると、特定の個人を詳細に識別できるほどの情報量になります。日常的に発生する控えや帳票も例外ではなく、扱う件数が多いほど、漏れたときの影響範囲も広がっていきます。
起こりうるリスク
こうした書類が外部へ漏れると、被害者への損害賠償、顧客・取引先からの信用失墜、取引停止など、事業の根幹を揺るがす事態につながりかねません。一度失った信頼を取り戻すには、長い時間と多大なコストがかかります。「裁断し忘れた書類を一般ゴミに出す」「廃棄を担当者任せにする」などの運用の隙が、漏洩の入口になりがちです。
個人情報保護法では、個人情報取扱事業者に対し、扱う個人データの漏えい・滅失・毀損を防ぐため、必要かつ適切な安全管理措置を講じることを義務づけています(第23条)。書類の廃棄もこの安全管理措置の一環であり、処分の段階まで管理を徹底する必要があります。社内でルールを共有し、担当者一人ひとりが処分の重要性を理解しておくことが、確実な対策の第一歩になります。
加えて、事業活動で出た書類を屋外で燃やす「野焼き」での処分も認められません。廃棄物処理法は、基準を満たした焼却炉などによる場合を除き廃棄物の焼却を原則禁じており(第16条の2)、違反すると5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金またはその両方が科されます(第25条)。
処分前に分類しよう|処分してよい書類・残すべき書類
すぐに処分してよい書類
役目を終え、保管義務のない書類は、安全に処分すれば手元へ残す必要はありません。配布済みで不要になった資料、重複したコピー、保管期間を満了した一時的な控えなどが該当します。判断に迷うときは「再発行できるか」「法令や契約で保管が求められていないか」を基準に考えます。こうした書類をこまめに処分しておくと、保管スペースの圧迫を防げるうえ、必要な書類を探す手間も減らせるでしょう。ただし個人情報を含む以上、そのまま一般ゴミへ出すのは避けてください。
一定期間の保管が必要な書類
法令で一定期間の保管が義務づけられた書類は、期間を満了するまで廃棄できません。帳簿・請求書・領収書などの税務関係書類、雇用・労務に関する書類などがこれにあたり、保管年数は書類の種類や根拠法令によって異なります。自己判断で早期に廃棄すると、税務調査、監査、各種手続きで支障が出るため、保管期間を一覧で管理し、満了を確認してから処分のタイミングを決めましょう。保管期間が複数年にわたる書類は、年度ごとに箱を分け、廃棄してよい年を明記しておくと、満了した分だけを迷わず処分できます。
原則ずっと保管する書類
重要な契約書、登記関係の書類、定款、会社の権利義務に関わる証書などは、原則として保管し続けます。これらは紛失すると再発行に手間がかかるだけでなく、権利関係そのものを証明できなくなる恐れがあります。処分対象の書類とは保管場所を分け、施錠やアクセス制限のうえで管理するのが望ましいでしょう。電子データで控えを残す場合も、原本と同じ水準で保護し、持ち出しや閲覧の範囲を限定しておくと安心です。
個人情報が記載された書類の処分方法
シュレッダーで細断する
オフィスで手軽に使えるのがシュレッダーです。日常的に出る少量の書類を、こまめに処理する用途に向いています。選ぶ際は、細長く切る「ストレートカット」より、縦横に裁断される「クロスカット」や「マイクロカット」を選びましょう。裁断くずが細かいほど復元されにくくなるため、機密性の高い書類ほど細断サイズの小さい機種を選ぶと安心です。ただし業務用でも、大量の書類を一度に処理すると時間がかかり、本体が熱を持って止まることもあります。導入時は本体価格だけでなく、消耗品や電気代などのランニングコストもあわせて検討しておきましょう。
個人情報保護スタンプ・マスキング
宛名や口座番号など、隠したい箇所が限られている場合は、ローラー式の個人情報保護スタンプが手軽です。文字の上に複雑な模様を転写し、読み取れなくします。ただしマジックでの塗りつぶしは、透かすと文字が浮かぶことがあるため過信は禁物です。窓付き封筒やはがきなど、一部分だけに個人情報が印字された郵便物の処理に向いており、その箇所を確実に隠してから処分します。書類の一部だけを隠したいときの補助的な手段と位置づけ、枚数が多い場合はほかの方法と併用しましょう。
社内処分は「記録を残す」までをセットに
シュレッダーやマスキングで社内処分するときは、あわせて「誰が・いつ・どの書類を・どの方法で廃棄したか」を記録に残す運用も整えておくと安心です。担当者や手順を決めず個人任せにすると、廃棄漏れ、誤廃棄、持ち出しなどのリスクが高まります。廃棄ルールを文書化し、処分の記録を保管しておくと、安全管理措置を適切に講じている証跡となり、監査や問い合わせの際にも説明しやすくなります。
大量・確実に処分したいときの溶解・回収サービス
社内のシュレッダーとマスキングだけでは手に負えない量になったとき、より確実に処分したいときは、専門業者による機密文書廃棄サービスの利用がオススメです。なかでも書類を溶かして再生する溶解サービスは、安全性と業務効率を両立しやすく、多くの企業に選ばれています。
機密文書溶解サービスとは
機密文書溶解サービスは、書類を専用の箱へ詰めて引き渡し、未開封のまま専用設備で溶かして処理する仕組みです。箱を開けずに処理するため中身を見られる心配が少なく、ホチキスやクリップを外す手間も基本的に要りません。分別の負担が小さく、回収から処理までを一貫して任せられるため、担当者の作業時間を減らすことが可能です。料金は箱単位の設定が多く、定期回収に対応するところもあります。溶かした紙は再生紙の原料としてリサイクルされるため、環境負荷の低減にもつながります。さらに、処理後に証明書が発行されるサービスを選べば、確実に処分した記録として社内外への説明にも活用できるでしょう。
出張・持ち込み回収サービス
処理を目の前で見届けたい場合は、大型シュレッダーを積んだ車両が訪問して、その場で裁断する出張サービスや自社で処理施設へ持ち込む方法もあります。短時間で大量に処理でき、作業に立ち会える安心感も得られます。社外へ書類を運び出さずにその場で裁断できるため、運搬中の紛失や持ち出しを心配せずに済む点もメリットです。オフィスの移転、レイアウト変更、年度末の一斉処分など、一度に大量の書類が出る場面でも頼りになります。量や地域によって料金体系が変わるため、依頼前に見積もりを取っておきましょう。
信頼できる機密文書溶解サービスの選び方
個人情報を外部へ預ける以上、委託先の選定は慎重に行いましょう。次の点を確認してください。
- プライバシーマークやISO/IEC 27001など、情報管理の第三者認証を取得しているか
- 処理後に「溶解証明書」や「処理証明書」を発行してくれるか
- 料金体系(箱単位か重量か)が明確で、追加費用の説明があるか
- 運搬・保管中のセキュリティ対策が示されているか
個人情報保護法では、個人データの取扱いを外部へ委託する場合、委託先に対して必要かつ適切な監督を行うことを委託元に義務づけています(第25条)。事業者へ任せれば終わりではなく、選定・契約・取扱状況の確認まで委託元の責任となる点に注意が必要です。委託の際は、秘密保持や再委託の可否を契約書で明確にし、同業種での導入実績もあわせて確かめておくと、より安心して任せられます。認証や証明書の有無は各社の公式サイトに記載されていることが多いため、依頼前に必ず確認しておきましょう。
参照:個人情報の保護に関する法律(取得した個人情報は、いつ廃棄しなければなりませんか)|個人情報保護委員会
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