請求書の原本は必要か?徹底解説!

請求書で原本が必要かどうか悩んでいませんか?「取引先に原本を送らなければいけないのか」「保管の際に原本は必要なのか」この2通りのお悩みをよく目にします。そこで、これらについてわかりやすく解説していきます。

請求書の「原本」とは?

そもそも「原本」とはなにか曖昧なまま業務を進めている方も多いのではないでしょうか。ここではまず、請求書の原本の定義についてわかりやすく解説します。

原本とは「最初に作成した書類」

請求書における「原本」とは、作成者が正式な手続きとして最初に発行した請求書そのものを指します。つまり、コピーや複製ではない、正規の書類が原本です。

取引先に渡すのは、この「原本」です。これは、紙で作成しても、パソコンで作っても、どのような方法であっても最初に作られた請求書が原本とされます。

紙で作成した場合の請求書の原本

紙で請求書を作成する場合は、以下のような形が原本とみなされます。

  • 請求書のテンプレートを印刷し、手書きで必要事項を記入したもの
  • パソコンで情報を入力してから印刷し、紙でやり取りするもの

いずれの場合も、相手に渡した書類が原本です。自社で印刷したものをPDF化したり、コピーを取ったりしても、それは「複製」にあたります。

データで作成した場合の請求書の原本

近年では、紙ではなくPDFや請求書発行システムを使った電子請求書が主流になりつつあります。この場合の原本と控えの考え方は、以下の通りです。

原本:パソコン上で作成し、PDFなどのデータでそのまま取引先に送付したもの
控え:取引先に送付したデータのコピーを社内で保存したもの

つまり、デジタルで作成した請求書も、最初に取引先に送ったデータが「原本」となります。そのため、印刷せずとも、電子データだけでやり取りする場合も、相手に送ったものが原本扱いとなります。

このように、「請求書の原本」とは紙かデータかに関係なく、最初に作成され、取引先に送付されたものを指します。

請求書は原本を送る必要がある?

請求書のやり取りにおいて、「原本」と「控え」との違いを正しく理解しておくことは非常に重要です。結論から言えば、取引先に送るのは請求書の原本でなければなりません。

原本を送るのが原則

請求書は、取引の証拠として正式な文書になります。そのため、取引先には常に「原本」を送ることが求められます。コピーや控えでは、正式な請求として認められない可能性があるため注意が必要です。

控えの作成義務はない

意外に思われるかもしれませんが、請求書の控え(自社保存用)を作成する義務は法律上ありません。つまり、請求書の原本を取引先に送ってしまって、自社に何も残らなくても問題ないということです。

控えを作った場合は保管義務が発生

仮に控えを作成した場合、それは「国税関係書類」として扱われ、原本と同様に保存義務が発生します。つまり、「控えを作らない=保管義務なし」「控えを作る=保管義務あり」と覚えておくとよいでしょう。

会計システムなどで自動的に控えが生成される場合も多いため、実際には保管の必要が生じるケースが一般的です。

tips:印鑑は必要?

請求書に印鑑を押すべきかどうか迷う方も多いですが、法律上は請求書への印鑑は不要です。とはいえ、取引先によっては印鑑が必要だと思い込んでいたり、印鑑がないと受領できない慣習的な運用ルールがあったりします。相手の運用に合わせて柔軟に対応することが望ましいと言えるでしょう。

スキャンした場合、請求書の原本の保存は必要?

紙で受け取った請求書や、自社で紙として発行した請求書の控えをスキャンして保存するケースは多くなっています。では、スキャン後に紙の原本は破棄しても問題ないのでしょうか?

結論から言うと、一定の要件を満たしていれば、紙の原本は破棄してもOKです。

電帳法でスキャナ保存が認められている

電子帳簿保存法(電帳法)では、一定の条件を満たすことで、紙の書類をスキャンして電子保存すること(スキャナ保存)が認められています。さらに、2022年1月の電帳法改正により、スキャナ保存の制度がより使いやすくなり、紙の原本は保存しなくてもよいことになりました。

注意点として、2022年1月以前に受領・発行した請求書については、スキャナ保存の制度が適用されないケースがあります。そのため、古い請求書は従来通り紙で保管を続ける必要があります。

また、電帳法のスキャナ保存には、2つの要件を満たす必要があります。

  • 真実性の確保(タイムスタンプなどの改ざん対策)
  • 可視性の確保(すぐに閲覧できる状態)

これらの要件を満たさずにスキャンして原本を廃棄するのはNGです。要件を確認したうえで、正式に電子保存できる体制を整えてから紙を破棄するようにしましょう。

参考:スキャナ保存関係|国税庁

なお、2022年1月以降、電子データとして受け取った請求書を紙に印刷して保管することはできなくなっています。

データでやり取りした請求書の原本はどうなる?

最近では、PDFや請求書発行システムを使って電子データのまま請求書をやり取りするケースが一般的になってきました。では、このような場合、請求書の「原本」はどのように扱えばよいのでしょうか?

電子データでやり取りしていても、

  • 受け取った側は受領した原本データを保存
  • 発行した側は控えデータを保存

という2つの義務が発生します。

取引先から受け取った請求書は「原本」

請求書を電子データ(PDFなど)で取引先から受け取った場合、そのデータ自体が「原本」です。紙ではなくても、「最初に発行され、正式に受け取ったデータ」であれば、それが正規の請求書とみなされます。

そのため、紙と同じように法律に基づいて保存する義務があります。コピーや印刷したものではなく、受け取ったデータそのものを保存しておきましょう。

自社で発行した請求書(控え)も保管が必要

一方、自社で請求書をデータで作成して発行した場合も、作成時のデータは控えとして保存されているはずです。このデータは、請求書の「控え」として扱われ、法律上は「請求書の写し」として保存義務の対象になります。

請求書の保管機関と保管方法

請求書は、取引の証拠となる重要な書類です。そのため、紙でも電子でも、法律上は一定期間の保管が義務付けられています。では、どのくらいの期間、どんな方法で保管すればよいのでしょうか?

保管期間:紙でも電子でも「7年」

請求書の保管期間は、法人税法・所得税法により原則7年間とされています。これは紙に印刷された請求書であっても、PDFなどの電子データであっても同様です。なお、赤字の年度は10年間の保存が必要になるため、まとめて10年保管としておくと、管理の手間が省けるかもしれません。

請求書を整理・保管する際には、管理台帳(一覧表)を作成しておくと後から探しやすく便利です。

また、電子データで管理する場合には、以下のサービスもオススメです。

  • 文書管理システム
  • 請求書発行サービス(電子契約サービス)

サービス自体が管理台帳の役割をしてくれるものも多く、電帳法に沿った保管要件を満たすものも多いため、効率的に運用できます。

紙の請求書の保管スペースに悩むならアウトソーシング

紙の請求書が大量に発生してしまうと、社内での保管スペースに困るケースもあります。特に中小企業や個人事業主では、スキャンして電子化したくても手が回らないという声も少なくありません。

そんなときは、書類保管サービスにアウトソーシングするという方法もあります。

  • 箱にまとめて送るだけ
  • 必要になったときに取り寄せ可能
  • web管理システムで保管した書類をわかりやすく管理

手軽さが魅力で、決算が終わった年度分の書類をまとめて保管しておきたいときなどに便利です。保管期間が過ぎたらWeb管理システムから廃棄処理依頼をするだけで、廃棄も完了してしまいます。

書類保管サービスなら書庫番人

初めての方や、書類の管理方法にお悩みの方には書類保管サービスの「書庫番人」がオススメです。お客様ごとにコンシェルジュが付くため、「なにから預けたらいいのか」「コストの少ない運用方法はあるか」などのご相談もできます。

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この記事を書いた人

書庫番人コラム編集犬

書庫番人コラム編集犬

書類管理・機密文書廃棄などのオススメ方法を中心に皆様のお役立ちコラムを執筆している犬です。コラムを読んでも分からなかったことはお気軽に書庫番人のお問い合わせフォームからお問い合わせください。