社会保険に関する書類の保存期間を守るための必須ガイド

社会保険に関する書類の保存期間は、企業にとって重要な管理事項です。従業員の情報を適切に保護するためには、書類ごとの保存期間を正確に守る必要があります。保存期間を遵守することは、単なる法的義務にとどまらず、業務の効率化やリスク管理にもつながります。本記事では、社会保険に関する書類の保存期間の詳細、管理方法のポイントなどを解説します。適切な保存期間を守ることで、企業の管理体制を強化し、法的リスクを減らしていきましょう。

社会保険に関する書類とは

厚生年金保険、健康保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つを社会保険といいます。社会保険は、労働者の生活保障を目的とし、企業と従業員が共同で負担する保険制度です。社会保険に関連する書類は、企業が従業員を雇用する際に必要です。企業側は、これらの書類を適切に管理し、法的に定められた保存期間を守ることが義務付けられています。

社会保険に関する書類の保存期間

社会保険に関する書類は多岐にわたります。各書類ごとに定められた保存期間が異なり、適切な管理が求められます。以下に、代表的な書類と保存期間を簡易表としてまとめました。

書類名保存期間起算日法律や規則
雇用保険に関する書類2年完結の日(退職、解雇や死亡の日)雇保則143条
雇用保険の被保険者に関する書類4年完結の日(退職、解雇や死亡の日)雇保則143条
健康保険・厚生年金保険に関する書類2年完結の日(退職、解雇や死亡の日)健保則34条、厚年則28条
健康診断個人票5年個人票を作成した日安衛則51条
労働者名簿5年労働者の退職・死亡の日労基法109条、則56条
雇入れまたは退職に関する書類5年労働者の退職・死亡の日労基法109条、則56条
賃金台帳5年最後の記入日(各労働者、各書類ごと)労基法109条、則56条
タイムカード、残業許可命令書など5年最後の記入日(各労働者、各書類ごと)労基法109条、則56条
災害補償に関する書類3年災害補償が終了した日労基法109条、則56条
労災保険に関する書類3年労災保険給付が完結した日労災法則51条
労働保険の徴収・納付などの関係書類3年徴収・納付・還付が完結した日徴収法則72条
派遣元管理台帳または派遣先管理台帳3年派遣契約が完了した日派遣法37条派遣法42条
安全・衛生委員会議事録3年議事録を作成した日安衛則23条

起算日とは

起算日とは、書類の保存期間が開始される基準日を指します。起算日は一律ではなく、書類の種類によって異なります。書類ごとに定められた起算日を把握し、保存期間のカウントを正しく行い、適切に管理することで、法的義務を確実に果たせるでしょう。

保存期間に関する法律や規則の詳細

社会保険に関連する書類の保存期間は、各種法令に基づいて厳格に定められています。企業は、従業員の社会保険を適切に管理するために、これらの書類を法律に従って保存し、管理することが求められます。

1.雇用保険に関する書類

雇用保険法施行規則第143条に基づき、企業は特定の書類を保存する義務があります。特定の書類には、雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿、雇用保険被保険者資格取得確認通知書、雇用保険被保険者資格喪失確認通知書などが該当します。これらの書類は、法的に定められた期間に従って適切に保存しなければなりません。

事業主及び労働保険事務組合は、雇用保険に関する書類(雇用安定事業又は能力開発事業に関する書類及び徴収法又は労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則による書類を除く。)をその完結の日から二年間(被保険者に関する書類にあつては、四年間)保管しなければならない。

参考:e-Gov法令検索|雇用保険法施行規則

2.健康保険に関する書類

健康保険法施行規則第34条に基づき、事業主は健康保険に関連するいくつかの書類を保存する義務があります。具体的には、健康保険資格取得確認通知書や健康保険資格喪失確認通知書、また被保険者標準報酬決定通知書などが該当します。これらの書類は従業員の健康保険に関する大切な情報を含んでおり、企業は法律を遵守し、適切に管理・保管しなければなりません。

事業主は、健康保険に関する書類を、その完結の日より二年間、保存しなければならない。

参考:e-Gov法令検索|健康保険法施行規則

3.労災保険に関する書類

労働者災害補償保険法施行規則第51条に基づき、企業は労災保険に関連する書類を一定期間保存する義務があります。関連する書類とは、労災保険請求書類、労災事故報告書などが含まれます。これらの書類は、労災事故に関する詳細な記録を保持しており、企業は法律に従い、保存期間中に適切に管理しなければなりません。

労災保険に係る保険関係が成立し、若しくは成立していた事業の事業主又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体は、労災保険に関する書類(徴収法又は労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則による書類を除く。)を、その完結の日から三年間保存しなければならない。

参考:e-Gov法令検索|労働者災害補償保険法施行規則

保存期間が過ぎた書類の廃棄

書類の保存期間が過ぎた場合、法律的には廃棄しても問題ないとされています。しかし、社会保険に関する書類は、複数の法令に基づき異なる保存期間が定められています。そのため、最長の保存期間を基準にして一律の年度で保存を終了し、そのあとに廃棄を行うのがよいでしょう。この方法で、各種書類の保存期間を誤って過ぎてしまうことを避け、適切に管理することができます。

保存期間不遵守による法的・経済的リスク

社会保険に関する書類の保存期間を遵守しない場合、企業は法的責任を問われる可能性があります。さらに、経済的損失が発生するリスクや、社会的信用の低下につながる恐れもあります。これらのリスクを回避するためには、法律に基づき定められた保存期間を守り、適切に書類を管理していきましょう。次の項目では、これらのリスクを細かく見ていきましょう。

法的責任の発生

社会保険関係の書類は、法律で定められた保存期間を遵守することが義務付けられています。例えば、健康保険や厚生年金保険の加入・喪失に関する届出を適切に行わなかった場合、法令違反となり、行政からの指導や是正勧告を受ける可能性があります。さらに、過少申告や不正が認められた場合には、罰金や加算金の支払いが命じられることもあるため、注意が必要です。

経済的損失の発生

保存期間を過ぎた書類を適切に廃棄しなかった場合、不要な書類の保存に伴うスペースの無駄遣いや、管理コストの増加が生じます。また、万が一これらの書類が漏洩した場合、情報漏洩による損害賠償請求や、再発防止策の導入にかかる費用が発生する可能性があります。

社会的信用の低下

法定の保存期間を遵守せず、書類管理が適切に行われていないことが外部に知られた場合、取引先からの信頼を失う原因となります。企業のコンプライアンス意識や情報管理体制に対する疑念が生じることで、ビジネスチャンスの喪失や、最終的には売り上げの減少につながるかもしれません。

従業員への影響

適切な書類管理がなされていない場合、従業員の年金記録や保険給付に影響を及ぼすかもしれません。これにより、従業員からの信頼を失い、労働環境の悪化や人材の流出を招く恐れがあります。

社会保険に関する書類の適切な保存方法

社会保険に関する書類には、それぞれ異なる保存期間が定められています。そのため、書類の整理や保存方法に困った経験がある企業担当者の方も多いはずです。保存方法を理解したあとは、それぞれの書類の保存期間を覚えてしまえば、すぐに実践に移せるでしょう。社会保険に関連する書類は個人情報を含む重要な記録であり、万が一の不正アクセスや紛失を防ぐためにも、適切に保存・管理されるべきです。ここでは、社会保険書類を適切に保存するための具体的なポイントを紹介します。

書類の種類ごとに分類する

社会保険に関する書類は、従業員ごとに分けるのではなく、書類の種類ごとに分類することをオススメします。書類の内容は申請ごとにまとまって届く場合が多いため、従業員別に分けるよりも書類カテゴリー別に管理するほうが簡単で効率的です。例えば、「健康保険関係の書類」「厚生年金関係の書類」「雇用保険関係の書類」などに分類し、必要に応じて迅速にアクセスできるようにしておくと便利です。

年度ごとに整理して保存する

書類の種類ごとに分類したら、次は年度ごとに整理しましょう。年度ごとにまとめることで、毎年1回保存期限が過ぎた書類を廃棄するだけで済み、管理が楽になります。保存期限が過ぎた書類は定期的に廃棄すれば、古い書類が溜まっていくのを防げます。この方法を実践すれば、書類整理の手間を大幅に削減できるでしょう。

書類保管サービスを利用する

社会保険書類の保存には、紙ベースでの保存や電子データでの保存など、さまざまな方法があります。紙ベースでの保存はスペースの確保や、劣化や災害での紛失リスクがあります。一方、電子データでの保存はスペースの問題を解決しますが、災害やセキュリティ面、初期導入の難しさなどの課題を無視できないでしょう。書類保管サービスを利用することで、これらのリスクを避け、効率的に書類を管理できます。専用施設で書類を保存するため、災害リスクの軽減や、セキュリティ面での対策も強化されます。書類保管サービスを選ぶ際には、セキュリティ面を最優先に考慮し、廃棄まで一元管理してくれるサービスを選ぶとよいでしょう。

社会保険に関する書類の保存は「書庫番人」の書類保管サービスに任せてみませんか?

社会保険書類の管理は、膨大な量と保存期間の違いなど、企業にとって大きな課題となります。そんな課題を抱える企業には、書類保管サービスの「書庫番人」にお任せください。

「書庫番人」では、法令に基づいた社会保険書類の適切な保存方法を提案し、専門のスタッフが管理をサポートします。はじめてご利用になる方でも、専門のコンシェルジュが丁寧に対応し、必要な書類の保存や、書類の廃棄も格安で実施しています。また、セキュリティ面も万全で、温度・湿度管理が行き届いているため、長期間保存が必要な書類も安心して預けられます。企業にとって、最適な書類管理方法を提案し、法令遵守と業務効率化を実現するためにサポートします。ぜひお気軽にお見積もりお問い合わせください。

この記事を書いた人

書庫番人コラム編集犬

書庫番人コラム編集犬

書類管理・機密文書廃棄などのオススメ方法を中心に皆様のお役立ちコラムを執筆している犬です。コラムを読んでも分からなかったことはお気軽に書庫番人のお問い合わせフォームからお問い合わせください。