調剤録の保存期間を徹底解説!法令遵守と効率的な管理方法

調剤録の保存期間は、日々の業務に追われる中でも確実に守りたいルールの一つです。法令遵守はもちろん、適切な管理で業務効率や信頼性が向上するでしょう。この記事では、薬剤師法や厚生労働省の規定をもとに、保存期間について解説します。

調剤録の保存期間について

調剤録は、薬局が業務を行う上で重要な記録であり、法的要件や行政の方針に基づき、保存期間に関するルールを遵守することが求められます。

薬剤師法に基づく調剤録の保存期間

薬剤師法では、調剤録の保存期間を原則として最終記入日から3年間と定めています。しかし、一部の例外も存在するため注意しましょう。例えば、生活保護法に基づく指定医療機関などの場合には、保存期間が5年に延長されるケースがあります。また、平成29年の民法改正に伴い、医療関係の短期消滅時効が廃止されることで、実務上は5年間の保存が推奨される傾向にあります。

厚生労働省が定める最新の保存期間と注意点

厚生労働省は近年、調剤録や処方箋の保存期間について大きな方針転換を行いました。これまでは紙媒体での保存を前提に3年間としていました。しかし、電子化が進む中で、2023年から保存期間を5年に延長する運用が始まりました。この延長は、医療情報の電子化を推進し、効率的かつ安全な管理を実現するためのものです。保存期間の延長により、電子処方箋の普及が期待されています。電子保存では、従来の紙媒体に比べてスペースを取らず、情報の検索や共有も容易になるでしょう。その結果、医療機関間での情報共有がスムーズになり、薬の重複処方や危険な飲み合わせの防止に寄与します。

調剤録の保存方法と注意点

調剤録は、薬剤師が行った調剤内容や服薬指導内容を記録した重要な書類であり、法的な保存義務があります。保存方法としては、従来の紙媒体での保存と、近年普及している電子保存があります。

紙媒体

紙媒体で調剤録を保存する場合、法的要件を満たしつつ、情報の劣化や紛失を防ぐため、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。

1.即時利用できる体制の確保

調剤録は、患者や医師からの問い合わせがあった際にすぐに参照できるよう、迅速に取り出せる状態を保つことが求められます。保存場所は薬局内に限定されず、外部保存も認められているが、その場合でも搬送時間が最小限に抑えられるよう工夫が必要です。

また、湿度や温度管理を徹底し、劣化や損傷を防ぐための適切な保存環境を維持しましょう。例えば、保存棚には耐火性や耐湿性に優れた素材を使用し、長期間の保存に耐えられるようにするとよいです。外部保存する場合は、書類の搬送中に専用のケースを使用し、他の書類と混同しないよう分けて管理しましょう。

2.個人情報の保護

調剤録には患者の氏名、年齢、処方内容など、多くの個人情報が記載されています。そのため、個人情報保護法に基づき、情報漏洩や不正アクセスを防止する対策が必須です。外部保存を行う際は、患者への説明責任があるため、掲示や書面で保存方法を明示し、患者の理解と同意を得ることが求められます。さらに、委託先のセキュリティ体制を確認し、契約内容には情報漏洩が発生した際の責任の所在や対策を明記する必要があります。万が一の紛失や盗難に備え、保存記録を詳細に残し、定期的に点検を行っていきましょう。

3.管理責任の明確化

外部に保存を委託する場合、薬局に最終的な管理責任があります。委託先の管理状況を定期的に確認し、契約書には事故発生時の責任や対応方法を明記することが求められます。例えば、定期監査やセキュリティチェックを行い、問題があれば速やかに是正措置を取るとよいです。また、委託先と契約期間が終了した際には、調剤録を適切に返却または廃棄する手順を明確にしておきましょう。事故発生時には迅速に患者へ報告し、再発防止策を講じる姿勢が求められます。

4.保存期間経過後の処分方法

保存期間が経過した調剤録は、適切に処分しましょう。その際、個人情報を保護するため、一般のゴミとは異なる処理を施す必要があります。手軽な方法は社内でのシュレッダーによる裁断ですが、セキュリティ面での多少の不安が残ります。大量の書類を処分する場合は専門の廃棄サービスに依頼したほうが効率的で、セキュリティも高まります。

廃棄サービスを選定する際には、信頼性や処分方法の安全性を確認し、契約書に処分完了後の証明書発行を義務付けるとよいです。万が一、個人情報が漏洩した場合には、重大なトラブルに発展するため、処分方法の徹底が不可欠です。

「書庫番人」は、調剤録の保存に最適な書類保管サービスです。専門のコンシェルジュが法令に沿った安全な保存・廃棄方法を提案し、証明書の発行にも対応します。

電子保存

調剤録を含む、医療関係の各種書類は電子化可能となっており、電子保存に関する法律は、e-文書法およびe-文書法厚生労働省令によって定められています。電子保存は、調剤録をデジタルデータとして管理する方法であり、近年のICT化に伴い普及が進んでいます。省スペースで効率的に管理できます。

1.紙で発行・スキャンで保管

紙で調剤録を作成し、それをスキャンして電子データとして保管する方法は、現在でも広く利用されている運用形態です。調剤が完了し薬剤師が署名または押印した後、1〜2日以内にスキャンを実施することで、どの調剤録が電子化されたのか混乱を避けることができます。スキャン時には、PDF、JPEG、PNGなど、視認性が高く、長期間保存に適した形式を選択しましょう。解像度は、原本と同等の情報が保持されるように設定し、折れや重なりがないか確認するとよいです。非可逆圧縮も認められていますが、原本の内容が判別可能な精度を維持することが求められます。

2.電子調剤録の発行・保管

電子調剤録とは、調剤録をペーパーレス化して保存する機能です。一定の条件を満たすことで厚生労働省が電子保存を認めており、紙詰まりやシールへのプリントアウトの手間が省ける、紙資源の節約につながるといったメリットがあります。

電子調剤録を導入することにより、紙媒体を使用しない効率的な運用が可能になります。データ作成の段階から電子化されているため、スキャン作業が不要であり、業務の迅速化が図られます。

3.どちらの場合でも注意するべき点

電子での調剤録を適切に保管・管理するためには、共通して注意すべきポイントがあります。まず、データの真正性を確保することが重要です。これは、データが正当な権限のもとで作成され、改ざんされていないことを保証するものであり、電子署名やタイムスタンプを用いることが有効です。

次に、セキュリティ対策を強化する必要があります。アクセス権限の制限や暗号化通信の利用、不正アクセスの監視体制を整えることで、データの安全性を確保できます。特にクラウドサービスを利用する場合には、サービス提供者のセキュリティ体制を事前に確認し、契約書にデータ保護対策を明記することが求められます。

さらに、保存性を維持するための取り組みも重要です。定期的なバックアップやデータの復元テストを行い、保存期間中のデータ劣化を防ぐよう努める必要があります。これに加えて、サーバ室への入退室管理や災害時の代替手段の確保など、物理的な管理も行わなければなりません。

最後に、個人情報保護の観点からも十分な配慮が必要です。調剤録には患者の重要な個人情報が含まれているため、データ管理においてはプライバシー保護の徹底が求められます。アクセス権限の管理を強化し、暗号化技術を活用することで、情報漏洩のリスクを軽減することができます。これらの取り組みによって、調剤録の安全で効率的な保管が実現します。

書類保管サービスを利用した調剤録の安全な保存

調剤録は薬剤師法や厚生労働省のガイドラインに基づき、一定期間の保存が義務付けられています。しかし、薬局や医療機関では日々膨大な量の調剤録が発生し、限られたスペースや人員で管理するのは困難です。そうした状況に対応するため、書類保管サービスを活用した安全な保存方法が注目されています。

書類保管サービスとは

書類保管サービスは、書類の保存を専門に行うサービスで、セキュリティが確保された専用施設に書類を預け、必要に応じて取り寄せる仕組みです。調剤録は患者の個人情報や服薬履歴が記載されており、情報漏洩のリスクを最小限に抑えるためには、高度なセキュリティ対策が必須となります。こうしたサービスでは、専用倉庫内に監視カメラや入退室管理システムが設置されており、信頼性の高い保存環境が整備されています。また、専用の保存施設では温度・湿度管理が徹底されているため、書類の劣化を防ぎ、長期間にわたり品質を保つことができます。紙媒体の調剤録は湿気や温度変化に弱く、保存環境が悪いと変色やカビが発生するリスクがありますが、専用施設ではこうした問題が起きにくいです。

書類保管サービスを利用するメリット

・スペースの効率化

薬局や医療機関では、新たな書類が日々増加し、限られたスペースが圧迫されてしまいます。書類保管サービスを利用することで、スペースを有効活用でき、業務の効率向上にもつながります。

・業務負担の軽減

書類の整理・保存には膨大な手間と時間がかかります。書類保管サービスを導入すれば、管理業務の一部を委託できるため、スタッフの負担が軽減され、本来の業務に集中できるでしょう。

・セキュリティの向上

書類保管サービスは、高いセキュリティ基準を満たした施設で保存を行うため、不正アクセスや情報漏洩のリスクを低減できます。専用施設では、24時間体制の監視や厳格な入退室管理が行われていることが多いです。

・災害対策

火災や地震などの災害発生時、調剤録を院内に保存していると、書類が破損・消失する恐れがあります。外部保管施設は耐火・耐震構造になっている場合が多く、災害対策でも有効です。

書類保管サービス利用時の注意点

厚生労働省が定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」では、医療機関が外部に医療書類の保存を委託する際、一定の安全基準を満たすことが求められています。

・委託先のセキュリティ体制の確認

委託先のセキュリティ体制が十分であるかを事前に確認する必要があります。具体的には、データ暗号化、アクセス管理、監視システムなどの有無を確認し、不正アクセスや情報漏洩のリスクが低いサービスを選ぶことが重要です。

・適切な保存環境の確認

書類専用の保存施設であることを確認する必要があります。貸倉庫やレンタルルームは湿度管理やセキュリティ対策が不十分な場合が多く、調剤録の長期保存には適していません。

書類保管サービスを活用した効果的な運用

書類保管サービスを効果的に運用するためには、以下のポイントに注意しましょう。

・保存する書類の分類

頻繁に参照する書類は院内で保存し、長期間保存が必要だが利用頻度の低い調剤録は書類保管サービスを利用するなど、効率的に分類しましょう。

・定期的な確認と監査

委託先の保存状況を定期的に確認し、問題がないか監査を行うことで、リスクを低減できます。

調剤録の保管は「書庫番人」の書類保管サービスに任せてみませんか?

「書庫番人」は、調剤録の保存に最適な書類保管サービスです。専門のコンシェルジュが、細やかなヒアリングを通して、法令に沿った適切な保存方法を提案できるため、はじめての方でも安心して利用できます。さらに、保存だけでなく、廃棄や電子化にも対応しているため、書類管理全般を効率的に行います。セキュリティ面でも安心で、機密文書に対応した倉庫は、万全のセキュリティ対策と災害対策が施されています。湿度管理も徹底されており、大切な書類が痛む心配はありません。社内で保存する書類と預ける書類の最適なプランニングも提案いたしますので、業務効率の向上やスペースの有効活用にもつながります。業務効率化と法令遵守を両立させ、快適な書類管理を実現しましょう。

この記事を書いた人

書庫番人コラム編集犬

書庫番人コラム編集犬

書類管理・機密文書廃棄などのオススメ方法を中心に皆様のお役立ちコラムを執筆している犬です。コラムを読んでも分からなかったことはお気軽に書庫番人のお問い合わせフォームからお問い合わせください。