「起算日の考え方」完全ガイド|保存期間を1日も間違えない数え方

書類の保管期間を管理するうえで、意外と見落とされがちなのが「起算日」の考え方です。「7年保管」「10年保管」などの年数は知っていても、その数えはじめをいつにするかが曖昧なまま運用しているケースは少なくありません。しかし起算日が1日ズレるだけで、満了日も丸ごとズレてしまい、本来まだ保管すべき書類を誤って廃棄してしまう事故につながります。

この記事では、期間計算の基本となる「初日不算入」の原則から、契約書や帳簿書類など種類ごとに異なる起算日の考え方、満了日を正しく導く手順、現場で起こりやすいミスまでを順番に解説します。あわせて、起算日管理を属人化させずに仕組み化する方法も紹介するため、書類管理の正確さに不安がある方はぜひ参考にしてください。

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そもそも「起算日」とは?期間計算の基本

起算日と「期間」の関係をおさえる

保管期間は「起算日」と「年数」の組み合わせで決まります。例えば「7年保管」と言われても、それだけでは廃棄してよい日は確定しません。どこを1日目とするか(起算日)が定まってはじめて、そこに7年を足した満了日が見えてきます。つまり起算日は、保管期間というモノサシでいう「0の位置」にあたる起点です。この位置が1日でもズレれば、満了日も丸ごと同じだけズレてしまいます。「年数は合っているのに廃棄時期を間違えた」という事故の多くは、年数ではなく起算日の取り違えが原因です。まず押さえておきたいのは、保管期間の管理が起算日の特定から始まるという順序です。

起算方法の原則は「初日不算入」

起算日を考えるうえでの大原則が「初日不算入」です。民法140条は、日・週・月・年で期間を定めたとき、期間の初日は算入しないと定めています。つまり、ある出来事が起きた当日は数えず、その翌日を1日目(起算日)として数えはじめます。初日を数えないのは、初日が1日まるごと残っているとは限らないためです。例えば昼の時点で期間が始まっても、その日はすでに半日が過ぎています。半端な1日を「1日」として数えると期間が不足してしまうため、端数の出る初日は切り捨て、翌日から丸1日ずつ数えるのが基本的な考え方です。書類の保管期間も、原則としてこのルールの上に乗っています。

参照:民法 | e-Gov 法令検索

起算日には一部初日を算入する例外もある

ただし、初日不算入には例外があります。民法140条のただし書きは、期間が午前0時から始まるときは初日を算入すると定めています。午前0時スタートであれば初日に端数が生じず、丸1日として数えられるためです。例えば「6月1日午前0時から2年間」と定めた契約では、6月1日がそのまま起算日(1日目)になります。実務では、契約書や法令が「○月○日から」と日付の頭を明示しているケースで、この例外が問題になりやすい点に注意が必要です。基本は初日不算入ですが、「0時から始まるか」「特別な定めがあるか」を確認する癖をつけておくと、起点の取り違えを防げます。

参照:民法 | e-Gov 法令検索

書類の種類によって変わる起算日

契約書は会社法と法人税法の両方をチェックする

契約書の保管期間は「契約を結んだ日」を起点に数えるわけではない、という点にまず注意したいところです。根拠となる法律が複数あり、それぞれ起算日が異なります。法人税法では、契約書を含む取引関係書類は、「確定申告書の提出期限の翌日」から7年間の保管が必要です。一方、会社法では事業に関する重要な資料を、会計帳簿の閉鎖のときから10年間保管することが求められます。締結日ではなく、その契約が属する事業年度を基準に起点が決まると理解しておくとよいでしょう。

参照:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁
参照:会社法 | e-Gov 法令検索

帳簿書類は「確定申告書の提出期限の翌日」が起算日

帳簿書類で特に誤解が多いのが、「事業年度の最終日」から数えてしまうケースです。正しくは違います。国税庁は、帳簿書類の保管期間の起算日を「その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日」と定めています。法人税の確定申告書の提出期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2カ月以内です。つまり3月31日決算の法人であれば、申告期限は5月31日、その翌日の6月1日が起算日となり、ここから7年を数えます。決算日の3月31日から数えはじめると、2カ月分も早く廃棄してしまう計算です。なお青色申告で欠損金が生じた事業年度は、保管期間が10年に延びます。

参照:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁

複数の法律が重なるときは「長い保管期間」に合わせる

ここまででわかる通り、1つの書類に複数の法律の保管義務がかかることがあります。契約書なら法人税法(7年)と会社法(10年)の両方が関係し、起算日も年数も異なります。このとき書類ごとに「どちらが優先か」を細かく判定していくのは、実務上きわめて煩雑です。そこで安全かつ効率的なのが、関係する法律のうち最も長い保管期間に合わせて統一する方法です。契約書であれば10年保管とそろえておけば、7年で足りる法人税法の要件も自動的に満たせます。判断を一本化することで、担当者ごとのばらつきや「短いほうで廃棄してしまった」という事故を防げます。

参照:法人税法 | e-Gov 法令検索
参照:会社法 | e-Gov 法令検索

起算日から満了日を正しく計算する方法

4ステップで満了日を導く

個別の書類に振り回されないために、満了日は次の4ステップで機械的に導くのがオススメです。

STEP1:その書類の保管義務の根拠法を確認する

STEP2:根拠法に沿って起算日を特定する(多くは事象の翌日、帳簿類は申告期限の翌日)

STEP3:起算日に保管年数を加算して満了日を出す

STEP4:満了日が休日に当たる場合の調整の要否を判断する

この順序を固定しておけば、書類の種類が変わっても同じ手順で計算できます。逆に、いきなり「何年保管か」だけを調べて数えはじめると、起算日の特定(ステップ2)が抜けて事故につながりやすくなります。年数より先に起点、という流れを徹底したいところです。

末日が土日・祝日に当たったら

計算した満了日(末日)が、日曜・祝日その他の休日に当たることがあります。民法142条は、期間の末日が休日に当たり、かつその日に取り引きをしない慣習がある場合に限り、期間は翌日に満了すると定めています。ただし、この延長が実務で効いてくるのは、主に「いつまでに提出・申請しなければならない」という期限のほうです。一方、書類の「保管期間の満了」は、末日が休日でも保管自体に支障はありません。極端にいえば、休日に書庫の書類を物理的に処分する必要はないため、延長を厳密に意識する場面はそれほど多くありません。迷ったときは末日を翌営業日まで延ばして扱えば、安全側に倒せます。

参照:民法 | e-Gov 法令検索

起算日の「設定」でやりがちな4つのミス

最後に、現場で頻発する典型的なミスを挙げておきます。いずれも「年数」ではなく「起点」のズレが原因です。

  • 初日不算入を忘れ、事象の当日から数えてしまう
  • 契約書を「締結日」から数えてしまう(正しくは属する事業年度が基準)
  • 帳簿を「事業年度の最終日」から数え、申告期限の2カ月分を取りこぼす
  • 法人税法(7年)だけを見て、会社法(10年)の存在を見落とす

これらは起算日を特定する習慣があれば、いずれも未然に防げます。

参照:法人税法 | e-Gov 法令検索
参照:会社法 | e-Gov 法令検索

正確な起算日管理を仕組み化するには

手作業・属人管理の限界

ここまで見てきた通り、起算日は書類の種類・根拠法ごとに考え方がわかれ、決算期や欠損金の有無によっても変わります。これをExcelや紙の台帳で1件ずつ計算・管理するのは、件数が増えるほど現実的でなくなります。さらに深刻なのが属人化です。「どの書類をいつから何年保管するか」が特定の担当者の頭の中にしかないと、その人の異動や退職とともにルールが失われます。後任が起算日の考え方を引き継げず、結果として「念のため全部残す」か「基準が曖昧なまま廃棄する」かの両極に振れてしまいます。これでは書庫の圧迫も法的リスクも解消できません。

書類保管・期限管理は書類保管サービスを利用する

そこで有効なのが、書類保管・期限管理を専門の書類保管サービスに任せる方法です。書類ごとに起算日・保管年数・満了日を登録して一元管理すれば、本記事で見たような複雑な計算を仕組みとして再現でき、属人化からも解放されます。書類保管サービスを使えば、満了日が近づいた書類を自動で把握でき、「廃棄してよい時期」と「まだ保管が必要な書類」をひと目で区別できます。物理的な保管スペースの外部化と、廃棄判断の正確さを同時に実現できる点が大きな魅力です。起算日の考え方を正しく理解したうえで、その運用を支える基盤として書類保管サービスの導入を検討すると、書類管理は一段と確実なものになります。

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この記事を書いた人

書庫番人コラム編集犬

書庫番人コラム編集犬

書類管理・機密文書廃棄などのオススメ方法を中心に皆様のお役立ちコラムを執筆している犬です。コラムを読んでも分からなかったことはお気軽に書庫番人のお問い合わせフォームからお問い合わせください。