個人事業主が廃業したら書類保管はどうする?保管義務と期間、保管方法を解説

廃業届を出したら、それで事業に関する全ての手続きが終わりだと思っていませんか。実は、廃業後も帳簿や領収書などの書類を一定期間保管し続ける義務が法律で定められており、個人事業主もその例外ではありません。書類の保管を怠ると、廃業後に税務調査が入った際に経費を証明できなくなり、思わぬ税負担を課されるリスクがあります。「もう店を閉めたから関係ない」という考えは、大きなトラブルにつながる可能性もあるでしょう。

本記事では、個人事業主が廃業後に守るべき書類の保管期間、保管方法、保管しなかった場合のリスクをわかりやすく解説します。確定申告の書類をはじめ、廃業後にどの書類をいつまで残すべきか、ぜひ確認しておきましょう。

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個人事業主は廃業しても書類保管義務はなくならない

所得税法や消費税法が定める書類の保管義務は、廃業によって消滅するものではありません。「事業所得などに関わる業務を行う者」全員に適用されるため、廃業届を出した時点で義務が消えるわけではありません。つまり、廃業後も法で定められた期間(原則5年〜7年)は、確定申告に関わる書類を含め、事業中に作成・受け取った書類を保管し続ける義務があります。

保管が必要な書類の範囲は広く、帳簿類はもちろん、請求書、領収書、契約書なども対象です。「廃業したのだから捨ててしまっても問題ない」と判断してしまう方もいますが、それは誤りです。個人事業主にとって廃業は事業の終わりですが、書類の保管責任という点では、まだ完全に終わったとはいえない状態が数年間続くことを覚えておきましょう。

また、消費税の課税事業者であった場合は、消費税法に基づき一律7年間の保管が必要です。

出典参照:所得税法 第148条|e-Gov法令検索
出典参照:所得税法 第232条|e-Gov法令検索
出典参照:所得税法施行規則 第63条|e-Gov法令検索
出典参照:所得税法施行規則 第102条|e-Gov法令検索
出典参照:消費税法施行規則 第26条|e-Gov法令検索

個人事業主は廃業しても税務調査の対象からは外れない

国税通則法により、税務署には過去の申告内容をチェックする権限(質問検査権)があり、この権限は廃業後も有効です。「店を閉めたら税務署は来ない」と思いがちですが、それは誤解です。廃業届を提出したからといって、過去の申告内容への調査が免除されるわけではありません。むしろ廃業時は、在庫の処分、資産の売却、消費税の清算など、通常の年度末よりも複雑な処理が重なりやすく、計算ミスが起きやすいタイミングです。こうした処理の多さから、廃業の年の申告内容は税務署に注目されやすい傾向があります。そのため、廃業から数年後に税務調査が入るケースも存在します。廃業後も書類をしっかり保管し、調査に備えておくことが大切です。

出典参照:国税通則法 第70条|e-Gov法令検索
出典参照:国税通則法 第74条の2|e-Gov法令検索

個人事業主が廃業後に書類保管をしていないと起こるリスク

書類を全て捨ててしまった後に税務調査が入ると、経費を証明する手立てがなくなります。経費の証明ができなければ正確な利益の計算ができないため、税務署が独自の推測で利益を計算する「推計課税」が行われる可能性があります。推計課税では多く利益があったとみなされるケースもあり、現役時代よりも重い税金を課される恐れがあるため、注意が必要です。また、仕入税額控除(納める消費税から、支払った消費税を差し引く仕組み)が否認されると、消費税の負担が大きく膨らむことにもなりかねません。さらに、帳簿書類の保管がない場合は、過去に遡って青色申告の承認が取り消され、最大65万円の特別控除が受けられなくなるリスクもあります。

廃業後の書類保管を怠ると、思わぬ税負担が生じるリスクがあるため、保管期間が終わるまでは確定申告関連の書類を含めしっかり手元に残しておくことが重要です。

出典参照:消費税法 第30条第7項|e-Gov法令検索
出典参照:所得税法 第150条|e-Gov法令検索

個人事業主の廃業後に求められる書類保管期間の目安

保管期間のカウントは、事業を辞めた日ではなく、その年の確定申告期限(原則3月15日)の翌日からスタートする点に注意が必要です。

青色申告者:原則7年

赤字(純損失)を翌年以降に繰り越せる期間は3年ですが、その根拠となる帳簿書類の保管義務は、赤字の有無にかかわらず一律7年です。請求書、見積書、注文書などの一部書類は5年となりますが、迷う場合は7年保管しておくと安心です。また、法人(会社)の場合は欠損金の繰越期間が10年のため混同しやすいですが、個人事業主の保管義務は原則7年である点を覚えておきましょう。

白色申告者:原則5年〜7年

収入金額や経費を記載した帳簿(法定帳簿)は7年の保管が必要です。一方、領収書や任意で作成した帳簿は5年の保管で問題ありません。書類の種類によって期間が異なるため、管理が煩雑になりがちです。

消費税課税事業者:7年

帳簿や取引先から受け取った請求書などは、種類を問わず一律で7年の保管が必要です。消費税の申告内容は税務調査で確認されることがあるため、関連する書類はまとめて保管しておくことが大切です。

出典参照:所得税法 第148条|e-Gov法令検索
出典参照:所得税法施行規則 第63条|e-Gov法令検索
出典参照:所得税法施行規則 第102条|e-Gov法令検索
出典参照:消費税法 第58条|e-Gov法令検索
出典参照:消費税法施行規則 第26条|e-Gov法令検索

迷ったら「書類保管は全て7年」が安全

法律によって保管期間は5年や7年とばらつきがあり、書類の種類ごとに廃棄時期を細かく管理するのは手間がかかるため、誤って必要な書類を捨ててしまうリスクもあります。また、不正行為があった場合、税務署の調査権限(時効)は7年まで延長されます。さらに、取引先とのトラブルなど民事上の問題が後から浮上する可能性もゼロではありません。

こうした事情を踏まえると、確定申告に関わる書類を含め、全ての書類を「一律7年保管して一括廃棄」とするのが、管理ミスを防ぐ最善策です。書類ごとに期限を管理する手間も省けるため、廃業後の負担を減らすことにもつながります。

出典参照:国税通則法 第70条|e-Gov法令検索

個人事業主の廃業後他の人はどう書類保管している?

パターン1:自宅の押し入れや物置で保管を続ける

シンプルな書類保管方法は、自宅の押し入れや物置にそのまま保管し続けることです。保管料がかからない点は大きなメリットです。一方で、生活スペースを5〜10年間にわたって圧迫し続けるほか、湿気や虫食いで書類が劣化するリスクもあります。また、終わった事業の書類が常に目に入ることで、気持ちの切り替えがしにくくなる面もあります。さらに、万が一本人が亡くなった場合、事情を知らない遺族が処分の判断に困る「負の遺産」になってしまう可能性もあるでしょう。

パターン2:電子化(スキャン)して原本を捨てる

書類をスキャンして電子化し、原本を処分する方法です。物理的な保管スペースが不要になる点が最大のメリットです。

ただし、注意点があります。領収書や請求書などの書類は電子帳簿保存法の「スキャナ保存」要件を満たす必要があり、会計ソフト等で作成した帳簿は同法の「電子計算機を使用して作成する帳簿の保存」の要件に従わなければなりません。また、それ以外の書類はe-文書法の要件に従わなければなりません。具体的には、解像度、検索機能の確保、入力期間の制限、訂正・削除履歴の確保またはタイムスタンプの付与など、法律に則った厳格な運用が求められます。

「とりあえずPDF化しておけば大丈夫」と考えがちですが、それだけでは要件を満たせない場合があります。電子化による保管を検討する場合は、事前に各法律の要件をしっかり確認した上で進めることが大切です。

出典参照:電子帳簿保存法|e-Gov法令検索
出典参照:e-文書法|e-Gov法令検索

パターン3:書類保管サービスを利用する

書類の保管を専門サービスに委託する方法もあります。自宅がすぐに片付いてスペースが確保できる上、セキュリティや空調が整った倉庫」で書類を保管するため、劣化や紛失のリスクを抑えられます。自宅での保管と異なり、湿気や虫食いによる書類の劣化を心配する必要がなく、大切な帳簿や確定申告の書類を長期間にわたって安全に保管することが可能です。また、保管期限が来たら溶解処理まで任せられる書類保管サービスもあり、将来の廃棄作業の手間がかからない点も魅力です。個人事業主が廃業後に数年間にわたって書類を管理し続けることを考えると、専門サービスへの委託は手間とリスクの両方を減らせる選択肢でしょう。

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この記事を書いた人

書庫番人コラム編集犬

書庫番人コラム編集犬

書類管理・機密文書廃棄などのオススメ方法を中心に皆様のお役立ちコラムを執筆している犬です。コラムを読んでも分からなかったことはお気軽に書庫番人のお問い合わせフォームからお問い合わせください。